コスト削減は誰のためにやるのか?

2011.10.03

経営・マネジメント

コスト削減は誰のためにやるのか?

野町 直弘
株式会社クニエ プリンシパル

先日ある方から非常に興味深い話をお伺いすることができました。

「コスト削減は誰のためにやるのでしょうか?」
彼はあるコンサルタントから調達改革のプロジェクトをスタートする際に問いかけられたそうです。

「自社の収益向上のため、競争力強化のため」
多くのバイヤーはこう答えたそうです。

「お客様に良いものをより安く提供するため」
そのためにバイヤーにとってコスト削減をやることは当たり前の責務である。と思っているバイヤーもいるでしょう。

また「取引先への継続的・安定的な発注のための条件」と考えるバイヤーもいらっしゃるでしょう。多分これが正しいという答えはないのでしょう。その時コンサルタントはこうおっしゃったそうです。

「コスト削減は取引先の技術力、競争力を強くし、取引先の成長のためにやるものです。」

これには、「その通りだな」と思わず頷いてしまいました。

しかしこの答えには多くの意味が含まれています。
取引先との中長期の継続的な取引関係を前提としなければならない。
取引先との間には協調と緊張の関係を作らなければならない。
取引先だけでなくコスト削減を自社の競争力強化につなげなければならない。
これらの条件を満たさなければ、このような目的を達成することはあり得ないのです。

私が自動車会社に入社して一番最初に感じた疑問はこれに関係することでした。
取引先は買い手企業の依頼に基づいて「原価検討会」なるものを開催して、多くの提案を上げてきます。

一方それに対して買い手企業(自分の会社)は「採用できない理由」をとうとうと述べる。常識的にはおかしいと思いませんか?
「何故取引先はこれだけ労力をかけて、自分の売上が下がる活動をしているのだろう?」素朴な疑問です。

自動車業界は昔から取引先との協調関係をより重要視してきました。
ですから、このような活動が当たり前のように行われています。
取引先にとって原価低減への貢献は継続的な受注につながります。
つまりお互いにとって競争力を強化できるような関係性つくりが、ある意味で定着しているのです。一方でこのような活動に対して「当り前だ」と感じているバイヤーがいたとしたらそれは大きな勘違いです。
多くの先達たちがこのような関係性を作ってきたから可能な活動なのです。しかし、私の現場経験の中にも多くの矛盾が存在していました。

代表的なのは「苦しい時の痛み分け」です。
これは原価低減交渉などの場面で、買い手企業が「今期は決算が苦しいからどうか協力して欲しい」と要請し最終的には取引先と買い手の要望を上手く折半調整したところでおさめましょう、というものです。

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野町 直弘

株式会社クニエ プリンシパル

NTTデータグループのコンサルティング会社である株式会社クニエの調達購買改革コンサルタント。 調達・購買分野に特化したコンサルティングを提供している株式会社アジルアソシエイツの元代表。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルがサービス提供を行います。

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