「女子向けスマホ」は「女子」を狙っているのか?

2011.09.02

営業・マーケティング

「女子向けスマホ」は「女子」を狙っているのか?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 ケータイ擬人化キャラの堀北真希が「女子のためのドコモ・スマートフォン」とはっきりとCMで言い切っているソニー・エリクソンのXperia ray。そのターゲットは本当に女子だけなのだろうか。

 CM<walk with you「女子向けスマホ」ray篇>では、若い女性3人が同商品を手に取って触りながら、「なにこれ?」「かわいい!」「色いいよね!」と、外観を見て感想を口にしている。傍らに擬人化キャラの堀北真希が立って、「はじめまして、新しいスマートフォンです」といい、続けて「わたし、片手でいいんです」とこの商品の最大のセールスポイントをアピールする。USP(Unique Selling Proposition=競合には実現できない独自の価値)を提示しているわけだ。CMでも女性達は画面を触り、「ホントだ!」「親指でいけるし!」と感心している。
 ドコモのホームページにあるCM紹介では、<女子だって、スマートフォンを使ってみたい!だけど、「実際どうなの?」「重かったり、操作が面倒だったりしない?」・・・なんて心配している女の子たちにぜひ見てほしい!>とある。確かにXperia rayはスマートフォンに移行していない女性を狙ったものであることは間違いない。商品ページを見ると<100gのコンパクトボディ>も重要なウリであることがわかる。サイズは従来の携帯電話と同サイズでさらに薄い。

 2003年頃、女性の間に一大旋風を巻き起こした「ヌーブラ」。当初は「若い女性向け」をイメージさせる訴求をしていた。通常のブラと異なり、肩ひもやアンダーベルトが無いため締め付け感がない。衣服にシルエットが浮き出ず、背中部分がないためファッションの自由度が高くなる。さらにバストの谷間を強調できたり、バストトップの位置を高くできたりという美乳効果にも注目が集まった。
 裸の胸にシリコン製のカップを直接貼り付けるという従来と全く異なる使用法のため、当初はイノベーションの採用に抵抗感がない若年層が狙い通り動いた。しかし、その後に40~50代の熟年女性が購買に走り売上を大きく底上げした。
 ヌーブラが「熟年女性のバストを美しく見せる」という訴求でデビューしたらどうだったか。40~50代の熟年女性層はいわゆるバブル期に青春を謳歌した年代だ。消費と自分磨きに貪欲な人も少なくない層であり、化粧品や健康器具、新たなダイエットやエクササイズ法など自らを美しく見せるアイテムを見逃さない。だが、「熟年向け」と明言されると「体型補正のため」という効用が強調されることになり、抵抗感が先立ってしまっただろう。「若い娘も使っているんだし!」という点が重要なのだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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