価値の源泉こそ内製化 - ニッセン

2011.06.29

経営・マネジメント

価値の源泉こそ内製化 - ニッセン

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

調達というとついつい外部から購入することを考えがちである。しかし、内部から調達することも忘れてはいけない重要な調達手段の一つである。今回はニッセンHDの物流会社の完全子会社化を例に、内製の活用について考える。

調達というとついつい外部から購入することを考えがちである。しかし、調達の目的は、必要な物資、機能、資金などを確保することであることを考えると、内部から調達することも忘れてはいけない重要な調達手段の一つである。

通販子会社などを統括するニッセンホールディングス(ニッセンHD)は合弁相手の豊田自動織機から通販物流子会社の通販物流サービスの株式50.5%を取得し、完全子会社化した。

2006年にニッセンHDが豊田自動織機と合弁で通販物流サービスを設立した当初は、豊田自動織機の物流ソリューション事業のノウハウを、ニッセングループの物流改革に取り入れることが目的であった。

その後、約5年が経ち、通販物流サービスの完全子会社化におけるニッセンHDの発表によると、合弁事業化時の当初目標は達成され、今後も継続的に物流効率改善を進めることができる体制は整ったという。

物流は3PL等へのアウトソーシングや物流機能子会社の売却が進んでいる材カテゴリである。それでは、なぜニッセンHDは通販物流サービスをこのタイミングでわざわざ完全子会社化するのだろう。別に今のままでも、自社の持ち分を合弁先の豊田自動織機に売却し、完全に任せてしまう手もあるのではないか?

同社の発表によると、同社グループの競争力強化のために、素材調達先及び生産委託先の集中と分散、販売のグローバル化を見据えた輸送ルート、海外から日本への輸入ルートや頻度、国内拠点の分散化と配送ルートといった国内物流ネットワークなどの見直しを積極的に進めていくという。加えて、インターネット販売に適した商品調達体制の整備、提携も含めた物流事業の外販のための仕組み構築なども検討している。

どうやら、ニッセンHDは、グローバルのサプライチェーンの構築、マネジメント能力が同社グループにとっての価値の源泉になると見ているようだ。物理的な店舗を持たず、商品とお客様をつなぐのが主要な役割である通販ビジネスにおいて同社の見立ては正しいと考えられる。

ニッセンHDでは、価値の源泉としてのグループのグローバルサプライチェーン構築、マネジメント能力を握るためには、通販の主力子会社ニッセンと通販物流サービスとの連携の更なる強化や、通販事業の全体最適化に向けた物流インフラ投資等の経営意思決定の迅速化が必須となることから、通販物流サービスの完全子会社を決めたとの事だ。

内製には、固定費が嵩む、資産が膨らむといった財務デメリットや、社内需要に甘んじて能力の研鑽が外部に比べ鈍るリスクなどが懸念される。一方で、内製化することによって、綿密なコミュニケーションによる目的の追求やシームレスなデザイン、判断・意思決定の迅速化が可能になるというメリットがある。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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