「メガチキン竜田そば」は誰がためにある?

2011.05.20

営業・マーケティング

「メガチキン竜田そば」は誰がためにある?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 1日約32万人もの乗降客が行き交うJR東日本の品川駅には山手線、京浜東北線、東海道線、横須賀線と新幹線5路線が乗り入れている。山手線は実は品川が起点駅となっていたりするのだが、そのホームはとりわけ人がせわしなく乗り降りしている。そんなホームの片隅、駅のコンコースに上がる階段の下に、ひっそりと建っている立ち食いそば屋がある。

 何の変哲もない立ち食いそば屋ではあるが、ひときわ目を惹くポスターが壁面に掲出されていた。「ドデカチキン最高! 新味 メガチキン竜田そば・うどん 490円 」。
 山手線から降りてきた会社員風の若い男性二人連れが、ポスターをチラリと見て「うわっ、胃もたれしそう~」と言った。一方、階段からホームに降り立った中年サラリーマン氏はポスターに3秒ほど目を留めて思案した後、店内に入っていった。

 メガフードブームが最高潮を迎えたのは2005年頃。大食いタレントのギャル曽根がテレビ各局に頻繁に顔を出しはじめた頃だ。2008年に「メタボ検診」が法制化されて沈静化するかと思われたが、「メガフード」はすっかり定番となった。日本マクドナルドから2007年に発売された「メガマック」が象徴的なメニューとなり、2008年には「クォーターパウンダー」に受け継がれて定番化している。ハンバーガーだけではなく、「メガフード」は牛丼やコンビニ弁当など外食・中食に幅広く飛び火し、すっかり市民権を得ている。
 「男もすなるメガフードといふものを、女もしてみむとてするなり」というワケか、女性狙いのメガフードも登場している。最も新しいものは、ケンタッキーフライドチキンから5月12日に発売された「ローストチキンサンド」だ。チキン胸肉1枚をまるまる使ったというボリューム満点のチキンサンドを、綾瀬はるかが豪快にかぶりつくCMも好評である。

 品川駅の「メガチキン竜田そば・うどん」もメガっぷりでいえば、「胸肉まるごと1枚級」だと思われる。チキン胸肉は原価が安い割にはボリュームが出しやすい。それを揚げたチキン竜田はランチの定番メニューである。「コスト・パー・カロリー」というか、安価にお腹いっぱいに食べられる定食として、大学の学生食堂や新橋界隈の居酒屋昼ランチではおなじみだ。キャベツの千切りを添えて、マヨネーズがドバッとかけてある様子が目に浮かぶ・・・。
しかし、写真にあるような、そばの上に鎮座しネギを載せた姿はあまりお見かけしない。若干、メニューとしてのバランスを欠いた感もある。
 「胃もたれしそう~」と言った若い会社員のキモチもわかる。そば・うどんは胃に負担の少ないメニューの代表格だ。天ぷらそば・うどんも定番だが、からりと揚げた天ぷらと比べれば、チキン竜田はあまりにボリューミー。しかし、恐らくその写真に惹かれて中年サラリーマン氏は店内に食しに行ったのだ。KBF(Key Buying Factor=購入理由)は何だろうか。どんなターゲットを狙っているのだろうか。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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