3.11以降も変わらない『お役所仕事』に腹が立つやら情けないやら。

2011.05.04

ライフ・ソーシャル

3.11以降も変わらない『お役所仕事』に腹が立つやら情けないやら。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

良い組織には、独自の言葉が生まれて流通する。ステキな会社には、楽しい言葉が溢れている。「言葉」とは、組織運営のための血液のようなものだと思う。

こんな貼り紙を見て腹立たしい1日を過ごして帰ると、テレビでは、お国のリーダー達が「命がけで」「一生懸命」・・・そんな言葉が嘘くさい言葉を未だに発信し続けている。

「一生懸命」の元々は、「一所懸命」だったのを、行政のリーダー達は、ご存知なのだろうか?鎌倉時代、“武士が賜った一カ所の領地を命がけで守り、それを生活の便りとして生きたこと”に由来している。字のごとく “一つの所”に命を懸けることだったのだ。 これが、貨幣経済の時代に移り変わっていくうちに、領地がそれほど切実なものとは感じられなくなり、「所」ではなく「生」となり、「一生懸命」と表記されだしたという。

命がけでやります。一生懸命やります。そんなことを軽々しく言う人ほど、仕事への期待は薄い。一生懸命やるのを見たことない。それは何故か?そういう人達に限って「一所懸命」が見つかってないからだ。仕事でも良い、家族でも良い、“一つの所”に懸けることが見つかっていない者は、「一生懸命」になれるわけがないのである。

前述のバス停のベンチが「ごみなのか、ごみではないのか」、そんなもの「一所懸命」働いていたら一目瞭然である。「このひとつの街のために働いている」という一所懸命さえあれば、結果的には、同じ処理をするにしろ、もっと心遣いの見える貼り紙となるはずである。

お役所には、前例という「答え」ばかりがある。
その「答え」には、特例も、臨機応変もない。
いつも同じ言葉=「答え」ばかりである。
同じ「答え」を見つける仕事など一所懸命にできるわけがない。

3.11以降、お役所に求められているのは、いつもの「答え」ではない。「問われている」ことへの特例であり、臨機応変である。「ごみではないごみを処理する」こともあるという発見である。その発見から生まれてくる聞いたことないステキな言葉である。

追記



先週の5月12日に、ベンチをチェックしたところ・・・
貼り紙が、下記のように変更されていました。

「告」から「お知らせ」に変わった文章は、
法的な問題からはじまり、
設置者への心遣いもあり、
連絡先まで明記されています。

市役所の皆様の迅速な行動と
ご厚意に感謝いたします。
今後とも、どうか、ステキな「言葉」の運用をお願いいたします。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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