リクルートの「就職人気企業ランキング」公表取りやめを歓迎する

2011.04.14

組織・人材

リクルートの「就職人気企業ランキング」公表取りやめを歓迎する

川口 雅裕
組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

「行列が出来る店はウマイのだろう」という発想と同じような就活が、これから変わっていくための第一歩として期待する。

リクルートが今春から「大学生の就職志望企業ランキング」の公表を取りやめる方針を明らかにしたそうです。日経の記事によれば、その理由は、「学生の価値観の多様化で一律のランキングを発表する意味が薄れた」「性別や文系・理系、総合職・一般職などの属性で、大きな差が出ており、総合的なランキングの発表は学生の誤解を招く懸念が高まっている」とのことでありました。正にその通りと、取りやめを歓迎したいと思います。細かいことを言えば、「学生の誤解を招く懸念が高まっている」というよりも、これまで十分に誤解させてきたと言う方が正しいのでしょうが。

このランキングで上位に行くことを、目標としてきた会社もあります。上位にランキングされると、学生への認知度が高まり、応募者増につながります。また、学生に対してだけではなく、新聞に「人気企業ランキング」で会社名が登場することは、ブランド力向上にプラスだ(社名が出ることは、悪い内容でなければ何でもブランドマネジメントに寄与する)と考えてきたと思います。社内の人達の気持ちをくすぐる効果もあるでしょう。「自分は、大学生から人気のある企業に勤めている」というのは、ちょっと嬉しいと感じるでしょうし、実はそれを相当のプライドとして持っているかもしれません。

景気の移り変わりや世相を表していると言われて、割と注目されてきたランキングですが、これが学生の就職活動に与えてきた影響は相当大きいと考えられます。行列が出来る店はウマイのだろうという発想と同じで、人気があるということは、良い会社なのだろうと考えてそこに行ってみる。キャリアセンターの職員の人達にしても、大学のブランド作りにつながる(キャリアセンターの実績作りになる)ので、本人の希望や適性や会社の実際の姿は別にして、ランキング上位の会社にたくさん入社してほしいと思っていますし、そのような指導を行いがちです。会社は明確に序列化できるといったような勘違いを与え、上から順に志望するなど、ランキング的な発想でこれまで就職活動が展開されてきたのは、「就職志望企業ランキング」の存在が大きかったのでしょう。

学生にとって(キャリアセンターも)、ランキングという指標・基準がないということは、各々が設定した基準や視点に基づいて就職活動をしなければならないということであり、今回のことが本来の姿に一歩近づくきっかけになるのではと期待します。中小企業に注目するなど、学生の就職活動の仕方が変わってきたという報道もありますが、これは就職が厳しくなったので、ランキング上位に挑戦している場合ではないという、あきらめの行動であり、ランキング的発想から脱したとは思えません。リクルート以外にもランキングを発表している会社はありますが、せっかくのチャンスなので、願わくば、“かえって、学生の就職活動を混乱させてしまう”といった理由を持ち出してきて、ランキングを発表し続けることはやめていただきたいし、大学が独自でランキングみたいなものを作るのも勘弁していただきたいと考えます。

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川口 雅裕

組織人事研究者 /NPO法人「老いの工学研究所」理事長/一般社団法人「人と組織の活性化研究会」世話人

組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革・健康経営など)や、高齢者・高齢社会をテーマとした講演を行っています。

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