CO2を汎用樹脂の原料に - 東大、住友精化

2011.03.11

経営・マネジメント

CO2を汎用樹脂の原料に - 東大、住友精化

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

東京大学の野崎教授と住友精化の研究グループが、温暖化ガスの二酸化炭素(CO2)を原料に樹脂製品を作る実用的な技術を開発した。このケースは、地球温暖化防止にも、環境経営にも、資源リスクマネジメントにも役立つ画期的な技術というだけでなく、その着眼点はビジネスの基本そのものとしても参考になる。

「東京大学の野崎京子教授と住友精化の研究グループが、温暖化ガスの二酸化炭素(CO2)を原料に樹脂製品を作る実用的な技術を開発した。(出所:日本経済新聞 2011年3月18日 3面)」

CO2からプラスチック樹脂を作る技術は、40年前に発見されているが、地球温暖化が問題視される最近になって注目されている。しかし、これまでの技術では、CO2由来のプラスチックでは十分な製品性能が引き出せなかったり、熱に弱く材料として扱いづらいといった難点があった。

「樹脂の成型は、いったん温めて柔らかくし、型に入れて冷やして固めるのが一般的で、生産ラインに乗せるには、余裕を見て摂氏300度近い温度に耐える性質が必要とされる。今回の技術は、CO2由来の樹脂であっても従来の最高値よりも40度高い摂氏280度でも溶けないようにし、成型・加工に必要な耐熱性を持たせるのに成功し、石油系の合成樹脂の代替に道を開いた。(参考:同上)」

今回開発された技術では「1kgの樹脂を作る場合、半分の500g分はCO2から作れる。石油系の原料だけの一般的な合成樹脂に比べ、焼却処理時のCO2排出量は3割以上減ったと見なせるという。(出所:同上)」

「この技術では、発電所や工場などからまとまって出るCO2を樹脂の原料とすることを目指す。ここでCO2の回収に用いられる触媒は高価だが、原料に比べ少量しか使わずに実用的な生産効率が得られるため、大きなコスト増にはならない見通し。(参考:同上)」

この技術により作られる樹脂は、「ポリプロピレンやポリエチレンなどの石油系の合成樹脂の代替として使える(出所:同上)」と見られており、CO2を石油系の原料の代替素材とすることが期待される。石油系の合成樹脂の代替には、植物のでんぷんなどを使った樹脂があるが、広大な農地が必要で、生育に時間や燃料も掛かる。トウモロコシなど食糧となる植物を原料とする方法については、食糧価格高騰の要因となっている問題も指摘されている。今回の技術のようにCO2を原料とすれば、こうした問題が避けられる。

加えて、この技術は「CO2を回収して地下深くに埋める方法などに比べ、安価な温暖化対策になり得る。(出所:同上)」資源対策にも、地球温暖化防止対策にもなるという訳だ。産油国諸国の政情不安の中で、石油の代替原料を持つことは、リスクマネジメントの一つの手段として重要だ。原油価格の高止まり、高騰が懸念される中で、石油の代替原料になるということは、企業経営にとっては、コスト抑制の意味も持つ。一石二鳥どころか、一石三鳥だ。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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