類推できる人はよく学べる人

2011.02.14

仕事術

類推できる人はよく学べる人

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

いたずらに多読するばかりが学びではありません。本棚にある1冊を再読する。そして類推を利かせる。「再読×類推」―――この2月、知的トレーニングの春キャンプとしてやってみてはいかがでしょうか。

 ……私が事業として売っているのは企業研修で、例えば、1日間研修を終えたときに、受講者の前で締めの一礼をして、一応拍手をいただいて退場するわけですが、そのときに、上のような「手に触れることのできないホログラム」的な何かを残すことができているのだろうか―――この詩の一節を読んでふと考えました。
 ビジネスパーソンへの研修プログラム(セミナーや講演含む)という商品は、もちろん仕事に関する知識や技能、考え方、在り方を学習体験に変換して売っているわけですが、終了直後の受講者に対し、それ以上の何かを差し上げられているのかが、私にとって一番気になるところです。
 私の研修サービスは、キャリア教育やプロフェッショナルとしての基盤意識醸成に的を絞っていて、かっこよく言えば「明日からの働くことに対し、“光と力”を与えたい」という想いでプログラム開発をしています。研修を終えておじぎをしたときに、受講者一人一人の内側に光が見えてきたか、力が湧いてきたか、もし、そうであるなら、それこそが教育者冥利に尽きる喜びです。
 私たちはそれぞれに売っているものがあります。トマトを売っている、カメラを売っている、クルマを売っている、建物を売っている、生命保険を売っている、料理を売っている。それら商品を通して売っているのは、必ずしも便益や機能だけではないはずです。その商品・サービスを送り届けたときに、「手に触れることのできないホログラム」的な何かがお客様の内に立ち上がること―――それがひとつのプロフェッショナルの仕事だと思います。

◆学ぶ力のひとつは類推力
 さて、このように1冊の本を再読すると、改めてさまざまな気づきが起こります。再読は心に余裕があるので、こうした気づきが起こりやすいのです。
 そして何より大事なことは、分野違いの本でも、自分のいまの仕事に当てはめるとどうなるか、いまの自分に状況に引き戻すとどうなるかという「類推」をすることです。類推(アナロジー)とは、「似たところをもととして他の事も同じだろうと考えること」(広辞苑)です。
 この類推が豊かな人は、世の中のさまざまなことから多くを学び取ることができます。逆に言えば、学び力の強い人は類推力が強いのです。隣の一を観察して、自分の十に応用展開してしまうことができるわけです。
 いたずらに手を広げて多読するばかりが学びではありません。いまそこの本棚にある一度読んだ本を手に取って再読する。そして類推を利かせる。「再読×類推」―――これをこの2月、知的基礎トレーニングとしてやってみてはいかがでしょうか。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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