ネクタイが戻らない!どうするウォームビズ

2007.10.11

ライフ・ソーシャル

ネクタイが戻らない!どうするウォームビズ

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

猛烈な残暑もようやく終わり、やっと秋らしくなってきた東京地方。 10月なので衣替えの季節か。と思いきや、KIOSKは制服のリニューアル。郵政も民営化に伴って制服が刷新されていた。 どちらも季節に合わせてか、暖色使いでなかなか良い雰囲気。 さて、来月からの冬季は「暖房は20℃までにおさえて、衣服で調節しましょう」というウォームビズの季節になる。

この秋以降、ワードローブをどうしようかと思案しながら、街行く人々の衣装を目で追ってみた。
女性はやはり秋らしい装いが目立つが・・・男性は何やらクールビズを引きずってか、襟元にネクタイが戻っていない人が多いようだ。
確かに涼しくなったとはいえ、ネクタイは窮屈。また、絞めると夏の暑苦しさを思い出す気もする。
以前調べたのだが、そもそもネクタイの発祥は諸説あるが、17世紀クロアチア騎兵隊の首に巻かれた色鮮やかな布であるといわれている。
クロアチアといえば地中海から大陸に広がる国で、内陸部なら夏でも平均気温は20度前後。
そのネクタイを日本に持ち込んだのはジョン万次郎が最初であるともいわれているが、そもそも日本とは気候は大きく異なる国の装い。本来はあまり適しているものではないのだろう。
筆者自身は、クールビズ元年の2005年時点では、「男がネクタイを外したダラケた格好でビジネスをしてどうする!」と反発していたものだが、
さすがに40℃を上回る猛暑となった今年の夏は、たまらずに、ネクタイなしの日が過半を占めた。
ネクタイを外した途端に豹変するのもなんだが、実際にあるとナシではリラックスさが随分と異なる。
一人でデスクワークの時のリラックスさ。人とディスカッションしている時のリラックスさ。いずれも発想が豊かになり、生産性が高まるように感じるのは気のせいか?

しかし、今を去る20年近く、筆者の新入社員研修の時に「ビジネス・ドレスコード」という研修を受けた時のことが思い起こされる。
その主旨は以下の通りだ。
・ビジネスでは相手と同じ土俵に立つことが重要。
・まずはそれを服装で示すのが「ビジネス・ドレスコード」。
・スーツにネクタイは、相手と同じルールで行動することの証明ともなるので重要。・・・云々。
さすがに20年近く前のことなので、古くさい考え方だが、今日でもあまり認識の変わらない人もいるのではないだろうか。
「得意先にはノーネクタイで行けないからね」と汗をしたたらせる営業職の人も、この夏の猛暑の中でまだ見かけた。
「ノーネクタイはNG」とするのは、得意先の暗黙のプレッシャーのせいなのか。
確かに、営業訪問先の担当者がネクタイ&スーツなのに、ノーネクタイのシャツ1枚では少々居心地が悪いだろう。
だが、環境負荷低減が求められる世の中、官庁や大企業がそうしているように、バイヤー側の企業及び、担当者こそ楽なスタイルを実践してもらいたいものだ。
同時に、「ノーネクタイはNG」とするのがかつての筆者のように、「男がネクタイを外したダラケた格好でビジネスをしてどうする!」という自分自身で設けた制約条件かもしれない。
だとしたら、是非一度、ビジネスカジュアルを実践してみることをお勧めしたい。環境負荷低減だけでなく、先に述べたように、思考生産性の向上が期待できるだろう。

「相手と同じ土俵に立つこと」「相手と同じルールで行動すること」は昨今の”ダイバシティー(多様性)”という考えの元では必ずしも正ではなくなっているのではないだろうか。
時代の変遷と共にルールやcommon senseは変わってくるものだろう。
新しい季節に、少しだけビジネススタイルも考え直してみてもいいのではないだろうか。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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