ガリガリ君と31アイスクリームの販売チャネルとターゲット

2010.10.27

営業・マーケティング

ガリガリ君と31アイスクリームの販売チャネルとターゲット

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 暑かった今年の夏、アイスの需要も爆発的に高まった。大定番商品・赤城乳業「ガリガリ君」は、1日の生産100万本といわれる能力(Wikipediaより)を持ってしても生産が追いつかず、店頭から姿を消した。これは一つの伝説になるであろう。同じくアイスの定番ブランドではあるが、店舗販売にこだわるサーティワンアイスクリームもこの夏、7月に全国1,000店舗の展開という記録を達成した。

 ターゲットの検証には「6R」という考え方を用いる。
 「6R」とは、Realistic Scale, Rate of Growth, Reach, Rival, Rank, Ripple Effect,という検証ポイントの頭文字6つのRを表している。以下、その検証をしてみよう。

 ・Realistic Scale(規模はあるのか?)=300店までの順調な出店を支えてきた顧客基盤である。黙っていれば店舗から足は遠のくが、呼び戻すことができれば十分な規模はある。

 ・Rate of Growth(成長性は?)=少子化は女子中・高生の減少も意味している。しかし、オトナになっていく少女達を次々に取り込めれば成長性はある。

 ・Reach(到達可能か?)=exciteコネタには<アイスクリームとしてブランド力ついた>との担当者コメントがある。オトナになったかつての顧客にとって忘却の彼方にあるブランドではなく、近くにあれば、入りやすければ足を運んでもらえるという勝算があったと思われる。

 ・Rival(競争関係は?)=フードコートのあるスーパーにはアイスを扱っている店もあるだろうが、専業で常時31種類(実は32種類)ものアイスを揃えている魅力ある競合はないだろう。十分に競合優位がある。

 ・Rank(優先順位は?)=こどもと一緒の主婦であれば、そのこどもに食べさせることによって販売量が多くなることが期待できるだけでなく、こどもへの「刷り込み効果」が期待できる。優先順位は高い。

 ・Ripple Effect(波及効果は?)=家族を見回せば、あまり接点のなかったお父さんがいる。休日に一緒に買い物に行ったなら、家族で食べるというシーンも想定できる。その効果を期待して、新業態店の展開も09年から始まっている。「あみプレミアム・アウトレット」(茨城県稲敷郡)にアイスクリームを使ったスイーツと、ドリンク・メニューを豊富に揃え、ゆったりとしたテーブル席を備えた「カフェ サーティワン」を出店した。平日のスーパーに加えて、休日のアウトレットモールやショッピングセンターという接点構築を計画しているのだろう。

 どちらもメジャーブランドであり、同じアイスでありながら商品と販売形態の違いから一見関連がなさそうなガリガリ君とサーティワンアイスクリーム。しかし、両者の歴史をひもとき、戦略を考察してみれば、ヒットするヒミツが見えてくる。どちらも顧客をよく見て、その変化を捉え、最適な接点を構築していることがポイントなのである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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