得意技と必殺技・パナソニック対タニタの「活動計」対決!

2010.10.12

営業・マーケティング

得意技と必殺技・パナソニック対タニタの「活動計」対決!

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 痩せたい!モテたい!このメタボなお腹を何とかしたい!健康志向の高まりという社会の流れに加えて08年4月からの「メタボ検診」の法制化以来、「ダイエット」は老若男女・全国民的な関心事になっている。そこに健康志向という新た軸を加えた対決が始まっている。

 ダイエットに関しては、タニタは計測器メーカーとして体重計、体脂肪計、体組成計、血圧計、歩数計などの専門。特に体脂肪計はシェア№1だ。それだけではない。自社の社員食堂のメニューをまとめた『体脂肪計タニタの社員食堂 500kcalのまんぷく定食』(1200円、大和書房)が、2,010年1月末の発売から約2か月で、8万5000部を販売。「ダイエットのサポートといえばタニタ」というニッチな領域でのブランド価値を高めている。

 ダイエット計測機器、活動計の精度のスペシャストに対する家電業界のリーダー企業、パナソニックの戦略は、リーダー企業の定石「同質化戦略」である。松下電器時代、とかく「マネシタ電器」と揶揄されたように、下位メーカーが開発・上市してヒットし始めた商品をスピードに勝る開発力を活かして迅速に模倣。強大な販売力であっという間に市場を席巻するのが『得意技』であった。単に模倣するだけではない。同等の製品を規模の経済をで低価格で商品化する「コストリーダーシップ戦略」の典型でもある。
 追われる立場となるタニタの戦略は、「コストリーダーシップ戦略」に対抗する「差別化戦略」に徹することだ。原材料の調達力やチャネル支配力に依存する販売量に劣るため、コストでは勝負できない。価格を下げるのではなく、機能を高めることで差別化を図るのである。つまり、リーダーが真似できない『必殺技』で対抗するのだ。

 パナソニックの「デイカロリEW-NK30」は恐らく、記事にあるような「アドバイス機能」を前面に出して、手軽に、しかしアクティブにダイエットに取り組もうという層を狙った展開を行うと思われる。手頃で試しやすい価格もそれを狙った設定であり、リーダー企業だからこそ実現できるものだろう。
 一方のタニタの「カロリズムスマートAM-121」はパナソニックの倍の価格妥当性をいかに消費者に納得させるかがキモとなるだろう。そのためには、「安静時代の謝機能測定」とその重要性を訴求し、それを必要とするターゲット層を絞り込み、活用方法の説明、メッセージを展開することにかかっているといえるだろう。

 同種のカテゴリーで全く異なるポジションの企業が、「得意技」と「必殺技」で戦う活動量計市場。パナソニック対タニタからは目が離せない。さらに、9月から医療機器メーカーでありながら一般向けには体温計・血圧計などで有名なテルモも市場に参戦した。どのような戦い方のでるのかも楽しみである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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