舘ひろし「本格<辛口麦>」が奪い取るもの

2010.07.22

営業・マーケティング

舘ひろし「本格<辛口麦>」が奪い取るもの

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 「いつかはこの味にたどりつくと思っていた」。キリンの第3のビール「本格<辛口麦>」のキャッチコピーだ。たどりついた先にあるものは何だったのか。

 「本格<辛口麦>」は第3のビールという、本来カテゴリー違いながら、「スーパードライ」の顧客を奪取しようというチャレンジャーである。チャレンジャーは力が勝るリーダーに対して正面から戦いを挑むのは得策ではない。リーダーのスキを突き、局地戦で戦うのだ。
 キリンはアサヒがスーパードライの若年層対策に乗り出すスキを突いて、本丸の中高年層を狙いに来た。そして、そこには経済的な理由から、「ビールと第3を併用する」層がいることを見抜いて同質化を図る商品として「本格<辛口麦>」を投入。CMキャラクターは万人受けするようになった福山雅治に対してアクの強い舘ひろしを起用。
 つまり、リーダーであるスーパードライの牙城である中高年ターゲット層の中から、商品の経済性とキャラクターへの共感の両方を評価する層を切り取る狙いで展開しているのだ。

 CMにはもう一つオマケのターゲットを奪取しようという意図が隠されている。舘ひろしが歌う「嵐を呼ぶ男2010」は、1957年に公開された石原裕次郎主演の映画であり、その主題歌だ。舘ひろしは石原プロ所属。現在の社長である渡哲也も1966年のリメイク版で主演していることから、舘ひろしが演じるのに不思議はないが、往年の裕次郎ファンには懐かしいことこの上ないだろう。ビール消費者層としてはメインから外れる年代ではあるものの、60代~70代の一部も取り込もうという意図が見える。

 チャレンジャーが生き残り、成功する条件はセグメント化が巧みであることだ。リーダーのスキを突き、勝てるところを見つけて小さく、細かく勝てるところを切り取っていく。
 果たして「本格<辛口麦>」が、舘ひろしがどこまでターゲットを切り取れるか。一方、スーパードライが、福山雅治がどこまで顧客層を守れるか。目が離せない。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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