「揚げないチキン」のKFCの深謀遠慮?

2010.07.05

営業・マーケティング

「揚げないチキン」のKFCの深謀遠慮?

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 ケンタッキーフライドチキン(KFC)の次世代店舗・第1号店「KFC渋谷公園通り店」が7月8日にオープンする。その狙いはどこにあるのだろう。

 カフェ専業のドトールグループはフードの充実に余念がない。スターバックスにおいても、フードは日本独自展開を行っている。さらに、マクドナルドが今年4月25日に都内12カ所で新型店をスタートさせた。100円メニューの廃止、価格の最大50円引き上げる反面、ゆったりとしてオシャレな店舗空間を実現したことは、明らかに「フードの充実したカフェ」の代替としての店舗を展開することで、カフェ業界に殴り込みをかけたことを意味している。
 つまり、今回のKFCの「揚げないチキンの店」は、新メニューの提案だけではなく、女性のお一人様需要を狙った、カフェ市場への参戦なのだ。

 ファストフード業界の強大なるコストリーダーであるマクドナルドまでが存在する市場に、KFCが「揚げないチキン」で参戦したには女性を狙うだけでない、もっと大きな理由があるようにも思える。

 日本のファストフード市場の黎明期は1970年代初頭にある。1970年にケンタッキーフライドチキン・ドムドムハンバーガー、1971年にマクドナルド・ミスタードーナツ、1972年にロッテリア・モスバーガーが出店を開始した。(Wikipediaより)今年、40周年である。米国生まれの新しい食べ物に目を輝かせ、高度成長期に多感な時代を過ごした世代ももはや中高年だ。ファストフードというと、ターゲット層は「若者」と思いがちだが現在の中高年は抵抗なくファストフード店に入って利用する。事実、マクドナルドの店内を見てみれば、実に多くのサラリーマン諸氏が昼食に、仕事の合間のコーヒーにと利用している。

 KFCのメニューは社名にもなっているように「揚げ物」だ。ファストフードの中でもとりわけカロリーヘビーだ。そのヘビーさは、ファストフードに抵抗のない中高年といえども、少々年なりにしんどくなってくる。チキンに年甲斐もなくかぶりつくのは、とてつもない幸せと満足感が得られるのであるが、その後、胃もたれで後悔することになる。
 「揚げないチキン」のメニュー・新業態店は、初期段階では若者の街・ファストフードの聖地である渋谷で、若者と女性を狙って展開する。しかし、その後は通常店にも「揚げないメニュー」の導入と、オフィス街近隣などへも出店してくるのではないかと考えられるのだ。

 自社のターゲットを考えるときに忘れてはいけない視点は、「顧客も歳を取る」ということだ。従来からの顧客層と自社の商品・サービスのラインナップが適合しなくなったとき、顧客は離反していく。顧客を積極的に入れ替えて若返りを図るという戦略であればそれは問題ない。しかし、少子高齢化が進み、市場の縮小にもはや歯止めがかからなくなった日本市場において、中高年顧客層の離反を看過するのは得策ではない。

  女性向けの「揚げないチキン」。そのサブターゲット、第二の戦略目標としてKFCは中高年顧客層対策を意識していると見た。早速、8日の開店を待って、試してみようと思う。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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