団塊・ファミリーマート上田社長のターゲティング戦略

2010.06.04

営業・マーケティング

団塊・ファミリーマート上田社長のターゲティング戦略

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

 コンビニ不振の中、上田社長の陣頭指揮の下にファミリーマートが巧みなターゲティングとポジショニングで時流をつかもうとしている。

 一方、別の年齢層をターゲットとした施策もしっかりと展開している。それが、インタビュー記事にある、上田社長の発言の2つめのポイントにつながる。
 3月からファミリーマートの店内ポスターやCMには俳優の小林薫が出演している。小林薫は58才。実際には少し若いが、リタイヤ・団塊世代層を象徴している。「よく見るとコンビニはいろいろなことをやっている」「ファミマって、ありだと思う」という台詞は、同世代の吸引を狙っているのだ。
 インタビュー記事では、全人口の2割を超す60歳以がファミリーマートの来店客に占める割合はわずか2%であるという。上田社長は「手つかずのマーケット」をどう取り組むかも大きな課題であるとしている。
 大きなマイナスに直面している弁当も、この層を狙って手を打っている。
 同社は2007年に50代後半から60代前半をテーマにした「チーム団塊」を発足。3月からは<“コンビニ弁当の定番おかず”である揚げ物を入れず、旬の野菜類をふんだんに用いた団塊世代ターゲットの弁当『春のこだわり和風御膳』を発売するなど、中高年層へアプローチ>を強化している。
 (オリコングルメ3月9日 http://gourmet.oricon.co.jp/74123/full/ )
 団塊世代であれば、若年層ほど就労や所得不足の問題や、給与の減少などの影響は総じて少なく、可処分所得も多い。弁当一つにしても、低予算ギリギリの選択や、節約のための手作りにこだわるのではなく、いわゆる「アクティブシニア」なら、「手間なく、カラダにいいもの」であれば受容する余地は大きいはずだ。
 この団塊ターゲットこそファミリーマートの真骨頂といえるかもしれない。上田社長のインタビュー記事では、<63歳の上田社長はコンビニエンスストア大手の社長でただ一人の団塊世代。「この世代の感性が自分のこととしてわかるのは私だけ。それが当社の強み」>としている。

 環境の大きなトレンドは、それを前提条件として受入れるしかない。昨今のマクロ環境は、高齢化に向かう人口動態、長引く不況と消費者の節約志向という経済環境、有効な打開策を示せず空転する政局。いわゆるPEST分析で見ても明るい要素はない。
 しかし、厳しい厳しいと嘆いていても、何も変わらない。特に自社ではコントロール不能な外部環境はそれを是として受入れて、対策を考えるしかないのだ。そして、その中で「ちょっとした市場の変化」をとらえて施策を立案する。さらに、市場全体を一律に見るのではなく、細かくセグメント化して「少しでも有望なターゲット」を発見して働きかけることが求められるのである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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