ミャンマー、大相撲、年金

2007.09.27

仕事術

ミャンマー、大相撲、年金

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

「ティッピング・ポイント」という考え方がある。残念ながら、既に廃刊だが2000年に同名の書籍が日本でも発刊された。 著者のマルコム グラッドウェルによれば、あるアイディアや流行もしくは社会的行動が、敷居を越えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的瞬間のこと」と定義している。

保険証免除などで見かけの納付率を底上げしていた粉飾していた社保庁。さらに、その一部(一部?)を着服していた職員の存在。2人に1人以上が払っていないという事実。全てが国民の前に明らかになった。ここがティッピング・ポイントだろう。2人に1人以上が払っていない。隣にいるこいつも、こいつも、払っていないかもしれないと生活者が思う時。さらにその割合は加速するだろう。転がる先は年金というシステムの完全崩壊。

給料天引きの人だけが馬鹿を見るという不満を解消するために、全額税負担議論が早急に立ち上がるだろうが、それは本来のシステムとは異なる。
元々のシステム設計に無理があったのも確かだが、納付率49.0%という数字がティッピング・ポイントになるのは間違いないだろう。

と、こんなことを書いているうちに、「背水の陣内閣」として、特に「政治と金」には細心の注意をすべき福田内閣の閣僚から金の問題が噴出したようだ。27日7:00の時点でasahi.comに<渡海文科相側に2百万円 国の工事受注業者、選挙時に>と報じた。続いて8:51には<石破防衛相、上限超す寄付 入閣当日に訂正>の報だ。

「背水の陣内閣」。実は発足当初から背水の陣ではなく、とっくに首まで水に浸かっていると揶揄されたが、現実になりつつある。まぁ、こちらはあまりに転がる場面が多くて、どこがティッピング・ポイントなのか判然としないが。

ともあれ、ティッピング・ポイントを見極めるのは重要だ。NHK流に言うなら「その時、歴史が動いた」となるのかもしれないが、そんな過去を振り返るのではなく、今、現在の変化の兆しを見逃さないでいたい。

なお、書籍「ティッピング・ポイント」はAmazonのマーケットプレイスでまだ購入可能なようだ。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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