サーバント・リーダーシップの文化を醸成するため、普段から何を意識しておくべきか。 私は、「相手の座標軸を理解する」ことが重要だと考えています。人はそれぞれ異なる座標軸を持っています。善悪、勝ち負け、損得、新古、好き嫌いなど、さまざまな座標軸があります。例えば、勝ち負けという座標軸を持っている人に、「こうやったほうが正しい」と言ってもあまり響きませんが、「こうしないと勝てない」と言えば響きやすくなります。 その人が大切にしている座標軸で語ること、それがサーバント・リーダーシップの第一歩です。つまり、主体はリーダー側ではなく相手にある。サーバント・リーダーシップというのはサービス業であり、サービスを受ける相手は部下や従業員で、その部下の座標軸を知るところから始まります。
相手の座標軸を理解する
サーバント・リーダーシップの文化を醸成するため、普段から何を意識しておくべきか。
私は、「相手の座標軸を理解する」ことが重要だと考えています。人はそれぞれ異なる座標軸を持っています。善悪、勝ち負け、損得、新古、好き嫌いなど、さまざまな座標軸があります。例えば、勝ち負けという座標軸を持っている人に、「こうやったほうが正しい」と言ってもあまり響きませんが、「こうしないと勝てない」と言えば響きやすくなります。
その人が大切にしている座標軸で語ること、それがサーバント・リーダーシップの第一歩です。つまり、主体はリーダー側ではなく相手にある。サーバント・リーダーシップというのはサービス業であり、サービスを受ける相手は部下や従業員で、その部下の座標軸を知るところから始まります。
レンガ型か、石垣型か
この「相手が主体」という考え方を表しているのが、チームビルディングにおけるレンガ型と石垣型の比喩です。
人材情報を体系的に整理し、スキルや適性を可視化するHRテックのようなツールを活用したマネジメントスタイルは、「レンガ型」のアプローチと言えるでしょう。同じ形のレンガを積み上げて、効率よく、均質に組織を整えます。組織目標を達成するために、職務に合う人材をあてはめていくわけです。
しかし現実の会社は「石垣型」でできています。
石垣は、大きかったり小さかったり、四角かったり三角だったりする石が積み上げられています。形もサイズもバラバラですが、それぞれが互いを支え合い、戦国武将がつくった城に代表されるように、全体として驚くほど頑丈な構造になっています。だからこそ強いのです。
だからこそ私は、石垣型の組織のほうがいいと考えています。三角の石にしかできない仕事、役割があり、大きな石にしかできない仕事、役割がある。求められているのは石垣型のサーバント・リーダーシップなのに、DXという名の下にHRテックやSFAだけに頼ってばかりいると、次第にレンガ型の組織になってしまいます。例えば、SFAでアラートが出たから顧客にDMを送っておく。そうした業務の効率化は確かに重要です。しかし、年に1回しか会わなくても、その1回でお酒を飲みながら膝を突き合わせて話すことで約定することもあります。また、70歳の会長が一緒にやりたいと言うのは、62歳のこの人だけということもあります。
人それぞれに心理的安全性を
現在、組織に「心理的安全性」が必要であると言われています。大切なことは、人が感じる「安全性」はそれぞれ異なるということです。一言で心理的安全性といっても、全員に同じ形の安心が必要なわけではありません。求めるものは人それぞれです。言いたいことが言えない人にとっては、言える環境が心理的安全性であり、「有休を取りたい」と上司に堂々と言えることが何より嬉しいのです。
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2009.02.10
2015.01.26
ハートアンドブレイン株式会社 代表取締役社長
1968年、千葉県生まれ。東海大学法学部卒業。 英国国立ウェールズ大学経営大学院(日本校)MBA。 新日本証券(現みずほ証券)入社後、日本未公開企業研究所主席研究員、米国プライベート・エクイティ・ファンドのジェネラルパートナーであるウエストスフィア・パシフィック社東京事務所ジェネラルマネジャーを経て、現職。
