「やりたいこと」が特に無い人のキャリア選択

2010.04.08

仕事術

「やりたいこと」が特に無い人のキャリア選択

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

何もしたいことがない、華々しい経歴も無いと言う人。そんなのは単なるダメ人間、なのでしょうか?実はそれほどでもなく、けっこういます。しかしそんな人がキャリア選択を行わなければならない際、どうしましょう。

4月になり、職場だけでなく通勤電車等でも新人と思しき人を見かけます。また新たな道を考えたりする時期でもあります。特にキャリア選択。

就職や転職等、キャリア決定をしなければならない時、給与条件とかポジション以外に、やり甲斐を見つけろとか、やりたいことや夢をあきらめるな等のアドバイスも見受けます。あるいは特技や経験、資格を生かして仕事を見つけたいという、前向きな意向もあれば、さらに現実的です。

しかし、特にやりたいことがないとか、自分が実現したいキャリアゴールが無い、生かせるほどの経験も能力もないなんていうダメ人間はどうすれば良いのでしょう。
いや、実はそれほどダメ人間でもないと思いますよ。なぜなら「やりたいこと、特に無い」は、かなり広く一般的な悩みだからです。
じゃあ、そんな、キャリアの方向性もない、決まらない人はどうしましょう?何すれば出来るようになるでしょうか?

私は「何もしない」、が一番かと思います。方向性は決まっているが、その実現のために足りない能力とか経験があると言うならば、いかようにもキャッチアップの道は見えますよね。
そうではなく、探す方向も見つからない、見当たらない、現実的な方向性がないと言う時に、無理やり決めても恐らくその道は、ご自身にとってはそれほどのめり込めもしない、あまり意欲を持てないものになるでしょう。
キャリアの方向やゴールに魅力がないと、その実現に向けた推進力がパワー不足になります。ますます実現から遠ざかるのではないでしょうか。

では一方、「何もしない」とはどんなことをすれば良いのでしょうか。
これは、アクションとしては「何もしない」という意味です。キャリアにおけるアクションは、一度してしまうと取り消しができません。人生はゲームではなくキャリアなのです。
ネット書込み等で「3ヶ月未満の職歴は書かなくて良い」なんていうウソ情報も見かけます。これはバレなきゃ犯罪したってわからないのと同じ、強引な解釈に過ぎません。

しかし「何もしない」なら、取り消しの必要もありません。わからない時は動かない、は戦術の基本だと言えるでしょう。
しかし一方、キャリアを変更しなければならない状況に追い込まれたらどうでしょう。ご自身は「何もしない」でいたいのに、何もしなければ仕事を失う、過労やパワハラで病気になる等、もはや自分では選べない状況になったら、動かざるを得ません。

こんな時に大切なのは「キャリアの連続性」です。元々たいした特技も経験も売り物も無いなら(何度も言いますが、それって普通です。ダメ人間ではないです)いかにキャリアに連続性があるかをデザインするという視点で決められたら良いでしょう。
例えば事務仕事をやってきたなら、業界や場合によっては所属組織も事務ではなく、営業とか管理とかで会っても、職務内容・職責が同じであれば「連続性」があります。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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