「アメとムチ」で人をやる気にさせることができるのか?

画像: Tony Aldrich

2010.03.07

組織・人材

「アメとムチ」で人をやる気にさせることができるのか?

松本 真治
有限会社ワースプランニング 代表取締役

皆さんはあの伝説の接遇講師をご存知だろうか。エチカの鏡で取り上げられるや一躍話題になり、今や多くの企業から研修依頼が殺到しているという平林都さんのことである。平林さんの研修風景を見て、「アメとムチ」をうまく使い分けていると大絶賛する人もいるが、果たしてそうだろうか。指導や教育で昔はよく使われていた「アメとムチ」、本当に効果はあるのか?

 実のところ人間は、内発的モチベーションで行動しているときのほうが継続的に意欲が高く、成果も高いことが分かっている。
 
 平林都さんの研修では、怒号が飛び交いその迫力に注目されることが多いが、最後まで見ていると、研修自体よりも研修後のフォローにこそ人を変える要諦があるように思える。

 研修後に問題のある受講生に対して個別に指導しているのだが、そのアプローチは「アメとムチ」ではなく、本来持ち備えている使命感をいかに引き出していくかということに焦点が当てられている。本人の気づきを促しているのである。

 そして、最終的には自ら気づき、自律的に行動しだしたとき、意欲=内発的モチベーションが高まり、大きな変化=成長があらわれている。

 最近、怒れない上司や教師や親が増えたと嘆く人も多いが、表面的なことにとらわれ、本質を見ていない人が多いように思える。少なくとも感情を伴った「怒る」という行為は怒る側、怒られる側双方にとってマイナスである。「叱れども怒らず」であり、強く言うにしても他者の視点にたった「叱る」ということでなければ人は育たない。

 時と場合によっては、「アメとムチ」も効果があるのかもしれないが、少なくとも他者視点に立たない行為は逆効果となるリスクが高いであろう。そして、何よりも本人に気づきを与え自律行動を促すことこそが行動意欲を高め真の成長に繋がる。
 

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松本 真治

松本 真治

有限会社ワースプランニング 代表取締役

人材・組織開発コンサルタント。 人材・組織の潜在力を引き出すアセスメント(サーベイ)の企画/開発/運用から本質的課題を抽出し、課題解決のための最適なソリューション(研修・教育プログラム)の設計/運営までのコンサルティング・サービスを展開中。 人/組織が本来持ち備えている力(潜在力)を引き出し、人/組織が自律的で持続的な成長を遂げていく支援をさせていただいています。

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