iPadは教科書になれるか?

2010.02.20

ライフ・ソーシャル

iPadは教科書になれるか?

今野 篤
株式会社経営教育研究所 代表取締役

米Appleが1月27日(現地時間)、タブレット型デバイス「iPad」を発表した。ちょうど、、iPhoneとノートPCの中間に位置する製品になる。新しく搭載されるデジタル書籍「ibooks」の機能を用いれば、教科書の電子化に一歩近づけるかもしれない。

「昨年のクリスマスイブに、ミニブログ『ツイッター』を始めた」と笑顔をみせるのは、ソフトバンク社長の孫正義さん。約2万人の社員にもツイッターの利用を勧めているという。同社は今年創業30年を迎えた。今後の30年を見据え、孫さんがつぶやいた内容は“30年後の教育はどうあるべきか”。

「お金をかけず、累計1,000件の英知が集まった」と感慨深げだ。代表的な意見は「情報通信の活用」だったが、最も感銘を受けたのは「“感動を伝える”というつぶやき」。実現のためにも、動画や音声で学べる「電子教科書」の導入を強く訴える。

ITの進化が、教育に大きく寄与する時代に、差し掛かったと言えるだろう。映像授業・教材、電子黒板等、ITと教育の組み合わせは、どんどん勢いがついてきている。子供達においても、物心付いた頃からデジタルに囲まれて育ってきている。そんな子供たちは、器用にデジタル機器を使いこなすし(使いこなせないのはアナログ世代の難民たち?)、それが当たり前になってきている。

慶應義塾大学環境情報学部の村井純教授は、日本のネット環境の大きな特徴として3つを上げている。

一つは携帯電話のインターネット機能がこれだけ発展している国はほかにないということ。もう一つは、家庭でのパソコンとブロードバンドの普及率が著しいということ。子どもたちは学校からでも家からでも、ネット環境に入っていくことができる。三つ目は子どもたちの使いこなし力。日本の子どもがIT機器を使いこなす感度は、非常に優れていると言える。

もはや子供とデジタル機器は、離しても離せない関係になっている。しかし、一方で今後の課題となってくるのが、現場の人間がその良さをいかに理解して扱えるかだ。それには、ある程度のITリテラシーを要される。しかし、今、現場にいる多くの人間が、デジタル・ネイティブではないアナログ世代である。

この辺の教育体制の構築が、我が国の教育におけるIT普及の大きな鍵になってくるだろう。

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今野 篤

株式会社経営教育研究所 代表取締役

教育ビジネスのアナリスト/コンサルタント。専門はフランチャイズ(FC)とデジタル関連。個別指導FCやベンチャーなどの教育機関を経て、2009年に民間教育シンクタンク経営教育研究所を設立。教育と異業種を結ぶエデュイノベーションLLPパートナー。

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