リスクを取らない商売に繁栄なし。小学館など売切商法導入

2010.02.16

経営・マネジメント

リスクを取らない商売に繁栄なし。小学館など売切商法導入

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

小学館や角川書店などの出版大手が、これまでの慣行であった書店で売れ残った本の返品を受け付けない代わりに、書店の利幅を増やす書店への売り切りでの取引形態を導入します。一見、返品自由でなくなると買い手側にはデメリットばかりのようですが、本当は逆です。今回は、返品自由を止め、買取制の取引に移行する事が、買い手側の大きなメリットなるという事を見ていきます。

品揃えという観点からは、書籍では、在庫を効率的に持てるAmazonなどのオンラインショップの方が優位にあります。また、電子書籍が普及してくると、書店の競争環境はますます厳しくなります。在庫数に制約のあるリアルの、特に中小の店舗では、品揃えではまったく敵わなくなっています。こうした業界での店舗の唯一の生き残り手段は、店のお客様に合わせてメリハリをつけた個性的な店作りです。長年続いた業界慣行を変えるのは簡単ではありませんが、市場全体が縮小する中では、各店が挑戦できる機会を提供する今回のような取組みを、業界全体として推し進める必要があります。リスクを取らない商売に学習なく、学習のない商売に繁栄はありません。

さて、ここまで買い手企業はもっとリスクを取るべきと書いてきましたが、別に売り手企業を擁護している訳ではありません。日本でサプライヤの立場が弱すぎるのは、あくまでもサプライヤの責任です。

日本では、売り手企業もリスクを嫌い、多くの新商品開発において、「明日売れるもの」ではなく、「今売れているもの」を作り、すぐに同質競争に陥ってしまいます。

銀行やベンチャーキャピタルなど資金の出し手が、「今売れているもの」にしか資金を提供しないという構造的問題もありますが、「自社にだけしか取れないポジショニングを取る」「お客様に正当な対価を頂ける商売をする」というサプライヤとしての矜持が売り手企業に不足しています。

値下げをして売る事は誰にでもできますが、それでは、先がありません。先がない仕事では、それに携わる誰もが夢を持てず、そこから抜け出すことはままなりません。

売り手企業は、値下げを検討している暇があったら、苦しくても価格を下げずに売る努力、コストを下げて低価格でも収益を上げる努力、他社が真似できない商品・サービスの提供の何れかに、時間とコストを掛けるべきです。

売り手企業が強い方が、我われ買い手側も腕を磨く事ができます。お互いに取るべきリスクを取り合う事で切磋琢磨して、より良いモノを世に出していきましょう!

※本稿は、弊社が発行しているメルマガ「週刊 戦略調達」の記事を編集・加工したものです。「週刊 戦略調達」は、調達・購買業務とそのマネジメント、コスト削減・経費削減のヒントを提供すべく、調達・購買業務のマネジメント、戦略調達のプロフェッショナルが、最新のトピックスから、調達・購買業務におけるトレンド、業務への影響を解説したものです。最近の記事のバックナンバーの閲覧やご購読は、http://samuraisourcing.com/knowledge/weekly/ にて行えます。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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