グリーンウオッシュと呼ばれぬ先の杖

2010.01.14

経営・マネジメント

グリーンウオッシュと呼ばれぬ先の杖

中ノ森 清訓
株式会社 戦略調達 代表取締役社長

エコ、グリーン、環境に優しいといった言葉で安易に社会的価値に訴えるのは、安易なように見えて、実は両刃の剣です。今回は、そうした行動が、いかに情報の出し手である企業にとって望ましくない結果になるか、また、そうならないようにするにはどうすれば良いかについてのお話です。

EnviroMedia Social Marketingという米国の広告代理店とオレゴン大学ジャーナリズム&コミュニケーション学科が運営するGreenwashing Indexというサイト(http://www.greenwashingindex.com/)では、グリーンウォッシュと思われる広告をユーザ間で共有しています。こうしたサイトを利用するのも一つの手です。ユーザの評価が必ずしも正しいのかという意見はあるかもしれませんが、そうした評価はコミュニケーションの結果という意味ではFactであり、一つのものさしにはなります。

しかし、一番重要なのは、環境負荷削減に真剣に取り組む我われ企業側のコミュニケーション能力の向上でしょう。「環境にやさしい」という主張をするからには、その根拠を提示するのは、情報の出し手の責務です。また、よい商品・サービスを市場で提供していくためには、粗悪なものまね企業を市場から排除するために戦う必要があります。これらも難しい事のように思われるかもしれませんが、非常に簡単な事から始められます。例えば、

1.環境コミュニケーションにおいて、「環境」、「エコ」、「グリーン」、「地球に優しい」という表現を使わない、ないしは「○○で環境」、「○○でエコ」、「○○でグリーン」、「○○で地球に優しい」と必ず主張の根拠を示すと共に、その主張が正しいか、自己チェックを掛ける
-環境コミュニケーションにおいて、「環境」、「エコ」、「グリーン」、「地球に優しい」という表現を使わなければ、自ずとより具体的表現で自分達がいかに地球環境負荷を低減しているか伝えなければならなくなります。文章で主張の根拠を明確にすれば、自己チェックでも正しい評価がしやすくなりますし、これができないという事は、根拠が整っていないと、すぐに明らかになります。ものまね企業には、このレベルでのコミュニケーションにすらついて来る事ができません。

2.環境コミュニケーションに力を入れる前に、コミュニケーションの素材である商品・サービス・事業そのものの環境負荷低減に注力する
-商品・サービス・事業の設計・デザインが実際に環境負荷低減につながるのであれば、根拠を示してそれをコミュニケーションするのは、難しくありません。

3.あらゆる企業活動を環境負荷低減の観点で設計、改善していく
-これは簡単な事ではありませんが、一つの商品だけで、環境負荷低減を実現したとしても、それだけでは地球に優しい企業と自らを呼ぶのは控えた方が良いでしょう。売上の大半をそうした事業で構成する、あらゆる企業活動そのものを環境負荷低減の観点に基づいて設計、改善していく仕組みを作って、初めてエコ企業と言えます。それができないのであれば、誤った主張は止めましょう。これならば、誰にでも簡単にできます。そうすれば、少なくとも、グリーンウォッシュ企業のレッテルを貼られる事は避けられます。厳しいようですが、それが環境企業、環境経営というものだと、弊社では考えます。

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中ノ森 清訓

株式会社 戦略調達 代表取締役社長

コスト削減・経費削減のヒントを提供する「週刊 戦略調達」、環境負荷を低減する商品・サービスの開発事例や、それを支えるサプライヤなどを紹介する「環境調達.com」を中心に、開発・調達・購買業務とそのマネジメントのあり方について情報提供していきます

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