ビジネスマナー研修に効果がない理由

2010.01.06

組織・人材

ビジネスマナー研修に効果がない理由

川口 雅裕
NPO法人・老いの工学研究所 理事長

マナー研修の企画者が、考えなければならないことは・・・。

エンジャパンの調査によれば、今も企業が社員研修として実施しているコンテンツ、やりたいと思っている内容はビジネスマナーであるようです。業種などによって、かなり違いはあるのでしょうが、客がうるさくなってクレームも増えていること、特に現場で働く若者のビジネスマナー以前の常識(態度や振る舞いや言葉遣い)の無さ、といったことが背景にあるのだと思います。

企業の経営者や幹部の方々と話していても、現場の人達のマナーを不安がっている人は多く、かと言って放置しているのではなくて、ちゃんとマナー研修を実施しているのに、どうも効果がない、マナーがなっていない者が多い・・・と言われます。

実は、ビジネスマナーを研修で学ぶのはとても難しいことです。
身だしなみ、表情や姿勢、名刺の受け渡し、電話対応、席次、メール・手紙・文書といったことのスタンダードを知ることは簡単なのですが、それが、①自分がやっている商売に、②自社のカラーやカルチャーに、③自分のパーソナリティに、マッチしているかどうかは別問題だからです。実際に自分が客の立場になっている時のことを考えれば、求められるビジネスマナーは、状況によってかなり異なりますし、ちゃんとしたマナーでもちゃんとしているだけで大した好印象を受けないこともあります。

ですから、企画側はその辺りをよく含んで実施する必要があります。客室乗務員やホテルの出身者にすごいマナーを教えてもらうことが、本当に良いのか。それらと自社のビジネスの違い、お客様との出会い方や目的はどう違うのかを考えた上で実施しなければならないということです。地域の違いだってあるでしょう。例えば、東京では「すいません」は禁句と教えられますが、大阪では軽い挨拶からしっかりした謝罪まで「すいません」を幅広く使います。

研修では、特に若い受講者は「正しさ」を求めます。ビジネスマナーの教え方も、こういうのは恥ずかしい、こういうのはNGと言いながら「間違い」をしないようにさせるパターンがほとんどです。そうやって、「型にはめていくのが」ほんとにいいのかどうか。役に立つのかどうか。
ビジネスマナー研修は、自社のビジネスを理解している人が、自社のカラー・カルチャーを知っている人が、各々のパーソナリティを活かすように進めるような内容であるべきと思うわけです。

組織人事・社員研修のことならイニシアチブ・パートナーズ

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川口 雅裕

NPO法人・老いの工学研究所 理事長

「高齢社会、高齢期のライフスタイル」と「組織人事関連(組織開発・人材育成・人事マネジメント・働き方改革など」)をテーマとした講演を行っています。

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