紙カタログは死なない!

90年代、ネットが世に出てきた頃、紙からデジタルへの移行が叫ばれた。2000年代も終わりに差し掛かってきた今日、デジタル化は必ずしも旧来型メディアの死を意味するのではなく、むしろ、新しい形の創造、イノベーションを触発している・・・。

今回の「ホリデー・カタログ」の発行部数は75万部。アメリカでは、紙カタログを50万部から100万部発行するのに、印刷代から送料までを含めて40万ドルから90万ドルのコストがかかるといわれている。ザッポスの場合、単純に間をとって65万ドルのコストがかかっていると仮定して、それを補って有り余るリターンが得られていると考えて間違いない。

過去20年あまりにわたってアメリカのカタログ通販業界の変遷を見てきたが、90年代のネット初期に、「それでも、紙カタログはなくならない」という声を業界人からよく聞いた。だから、ネット通販業者のザッポスが、紙カタログの発行に積極的に取り組んでいるという話はとても感慨深い。なるほど、紙カタログはなくならないだろうが、ウェブ時代の到来によって、店舗のあり方が問われているように、「紙カタログならでは」の良さや必然性が、これからは一層厳しく問いただされてくるだろう。ウェブ時代の紙カタログのあるべき姿に、ザッポスは、ある種の指針を示してくれるのかもしれない。「ザッポス・ライフ」のこれからの行方が楽しみだ。

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石塚 しのぶ

ダイナ・サーチ、インク 代表

ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。

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