人財の離職と根付きの問題2 保持から絆化へ

2007.09.08

組織・人材

人財の離職と根付きの問題2 保持から絆化へ

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

ヒトが離職する数(率)、あるいは定着する数(率)といった値のみに関心がいきがちだが、組織にとって真の問題は、ヒトの「離れ方」、「根付き方」がどうなっているかだ

【Envisioning Career-scape 第3景 ?2】=======

前回から引き続いて、ヒトの離職と根付きの問題に触れます。
先ごろ、ある場で私が話したことの要点は下の3つでした。

1)すべては“働くマインド”という意識基盤をつくりなおすところから
2)人財はリテンション(保持)からボンディング(絆化)へ
3)安すれば鈍する:野ガモを飼いならすな

今回は2番目の項目についてです。

ところで、
人事の分野で「リテンション」という言葉はすでに一般化されてきました。
と、同時に、意味が拡大化されてきているようにも思えます。

リテンションとは、本来、
保持したい特定の人財、例えば、ハイパフォーマーや競合他社に引き抜かれてはまずい高度な専門知識人など、といったターゲットを設定し、
彼らに物理的報酬なり心理的報酬なりを用意して、その流出を防ぐ施策をいいます。

ところが、現在では、
そのリテンションの対象が全社員まで広がり、
ともかく「うちは離職率が高いな。人の採用にも高いコストがかかってるんだ、何とかせい!」などと、
社長や役員から発破がかかって、
「はてさて、社員の引き留めに何か手を打たねば(自分の職責が問われるゾ・・・)」といった現場担当者からにじみ出る雰囲気も感じられます。

いずれにしても、リテンションという言葉は、
限定的人財の留保施策から
従業員を広く辞めさせない諸施策へと含みを拡大しつつあります。

3年で3割は今に始まったことではない

で、後者の部類に属すると思われる、例の「3年で3割が離職」問題ですが、
私はまず、その統計数値自体にオドオドする必要はないのではないかと思っています。

「3年で3割が離職」は、周知のとおり
厚生労働省の『平成17年版 労働経済の分析』の中で詳しく指摘されています。
それをみると、大卒の採用者について、
入社後3年目までに辞めていく数値は、10年前でもやはり30%弱あったわけです。
ここ数年、急に離職率が高まったということではありません。

しかも、同分析書の中の他の部分で紹介されているとおり、
そうした若年層労働者の転職動機として、
「もっと収入を増やしたい」は少なからずの回答率(25%程度:第2位の回答)に上っていますし、
また、働く目的については、
「自分の能力をためす生き方」が減少する一方、
「楽しい生活をしたい」が大幅に増え(37%程度)、第1位の回答となっています。

これらの回答をする人たちをひっくるめて、
功利的だとか、快楽的だとかの決めつけはできませんが、
そういう時代特性、ジェネレーション特性があるのだということを含めて考慮すると、
3割が辞めていくという数値は、驚くべき値ではなく、
自然現象として起こってしまう率なのかもしれません。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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