他者には、その他者しかわからない事情がある。

2009.11.08

仕事術

他者には、その他者しかわからない事情がある。

寺西 隆行
(株)Z会

仕事の指示は、自身とその部下にしかできません。 直接関係のない人、部署に対し、「動きが遅い」「部署目標をちっとも遂行していない」と一方的に責めるように迫る権利なんて誰にもありません。 加えて、他者には、その他者にしかわからない事情があるんです。

自分とは別の組織に仕事を依頼したときの作業期間は、その仕事単独で処理できる時間と同一視してはいけないんです。
しかし、他者を思いやる…というより、他者の立場の想像力、もっというと、想像しようという努力に欠ける人ほど、同一視する傾向にあり、困ったものです。

さらに、「組織」で見たときに、処理できる仕事の質・量は、(能力が同一だと仮定したときには)組織に属する人員数に比例します。
早い話、システム部署として「迅速な依頼の処理」をミッションとして掲げていても、部署の人数が5人と10人では、「迅速」と見なされる実際の速度が全然違います。

なのに他部署の人間で、その部署を実際に「見に行こう」とせず、その人の持つ「迅速」の価値観に当てはめ、システム部署がミッションを遂行していない、云々の批判をするのは、お門違いもいいところです。

まずは自分の部署のミッションを徹底的に遂行する。
その上で他部署のミッションを気にする。
他部署を見たとき「手を抜いているんじゃないか」と思える仕事があった場合、その仕事を“見に行く”、組織の人数を確認する…などコミットした上で「なんでできていないか」を考え、ソリューションを見つけようとする。。。

「あなたの部署のミッションだろう!」と批判するだけで動かないのではなく、本当に「会社として」そのミッションを達成したいと言う、個人的な強い気持ちがあるんであれば、他者特有の事情にコミットし、代替案を考える、ということを自らも行うべきなんですよね。

僕のいる部署は、広告宣伝系の仕事を統括・調整する部署です。

「どの部署も嫌がって引き受けない仕事」
「部署と部署の間にあり浮いてしまっている仕事」
「どの部署に所属させるかわからない仕事」

などがどこどこふってきます。

その一方で部署の人数は3名。
3名でできることを、優先順位をつけてやり、その上で最大のパフォーマンスを発揮するしかないわけです。

会社単位で考えると「僕の部署がやるしかない仕事」があっても、優先順位によっては、その仕事の進行を止めなきゃいけないときだってあるわけです。
たとえ、他部署から「僕の部署がやるしかない仕事」を是非やってほしい、と思われていても。。。

そしてまた、「仕事を止める」ことと「ミッションとして諦める」は別の話です。
なんでもそうですが、短期目標と中長期目標とを合わせた上で、仕事の優先順位は決めるものですから。

自部署のミッションや優先順位を決めるのは、他部署ではなく、該当する部署なんです。
トップダウンによる「強烈な方針」がない限り。

他者には、その他者にしか分からない事情がある、という、人間社会に生きていれば弁えておくべき事実、仕事の上でも多くの人が弁え、発揮できれば、そういった成員で囲まれる企業は強くなれますよね。

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寺西 隆行

寺西 隆行

(株)Z会

文部科学省広報戦略アドバイザー 経済産業省「未来の教室」教育・広報アドバイザー 三島市GIGAスクール推進アドバイザー 等

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