品質のこだわりと柔軟な店舗展開を進めるユニクロの未来

2009.07.08

経営・マネジメント

品質のこだわりと柔軟な店舗展開を進めるユニクロの未来

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

成長を遂げ続けるユニクロのこれまでの流れ、これからの動きをどう考えればいいか。金森マーケティング事務所取締役社長であり、屈指のユニクロウオッチャーの金森努さんにインタビューしてみた。

※今回はインタビューに回答する形式で「ユニクロのヒミツ」を語ってみました。インタビュー&構成はライターの原 勝也 氏にお願いしました。
 尚、今回の記事はライターの著作権に配慮するため、ライブドアニュースへの自動クローリングを除き、他メディアへの転載はご遠慮させていただきます。

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ユニクロは「規模の経済」である

 ユニクロは、かつてカラーヴァリエーション豊富なフリースをヒットさせた企業というイメージはあっても、どうしてここまで成長できたのか、よくわからないという人も多いと思います。

金森 ユニクロのフリースはカラフルというイメージがありますが、最初からカラーヴァリエーションがあったわけではありません。成功へのステップはもっと以前からありました。バブル崩壊後、アパレル関連の売上げが平均30%減だった中、ユニクロはロードサイド店を中心に出店攻勢をかけ、1996年に一部上場を果たしています。フリースのヒットではなく、ロードサイド店の積み上げで成長していった企業なんです。理由はSPA(製造小売業)でした。SPAによって「安いけれど、品質が良い」というスタンスで、当時の他のロードサイド店よりも人気を集めた。現在もそうですが、ユニクロの凄いところは「品質へのこだわり」です。アパレル業界だと通常は抜き取り検査なんですが、ユニクロは全品検査をしていると聞いています。某大手アパレル業者から「品質だけでは、もう大手企業はユニクロに勝てない」と言われるほど、品質にこだわっています。そして98年、原宿店出店によってフリースブームが起こります。
 ユニクロの特徴は「規模の経済」なんです。それは現在も変わっていない。この点、ユニクロはノンセックス、ノンエイジ、さらに当時はファッション性を追求するのではなく着る人が組み合わせて考えてくださいというアイテムだった。規模化もしやすかったわけです。

「まとめ買い」から「ついで買い」への変化

 2000年からフリースのカラーヴァリエーションが話題となり、安くて、品質が良くて、シンプルなデザインというのがユニクロだった。これ以降の流れはどのようなものだったんでしょうか。

金森 基本的にはブランド力をいかに高めるかということでしょう。ただし、新しい動きも出てきました。ユニクロはロードサイドを中心に展開をしてきましたが、2000年前半から「駅ナカユニクロ」というような小規模店が目立つようになってきた。車で店に向かって「まとめ買い」をするものだったユニクロは、近くに行ったついでに買うという「ついで買い」のショップに変化しつつある。さらに銀座店などの都市型店舗が増加したことで消費者との距離感が大きく変わりました。消費者との接点を増やし、都市型あるいは小規模店を増加させた。「まとめ買い」から「ついで買い」へと進化したと考えられます。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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