ゴリラの「ドラミング」とリーダーシップ

2009.06.30

組織・人材

ゴリラの「ドラミング」とリーダーシップ

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先日、ゴリラを中心とする霊長類の研究を 30年以上続けてこられた 山極寿一氏(京都大学大学院理学研究科 教授) の講演を聴く機会がありました。

山極氏のお話の中で特に面白いと感じたのが、
ゴリラが自分の胸を両こぶしでドコドコと叩くゼスチャー、
すなわち、

「ドラミング」

の本当の意味です。

ゴリラの「ドラミング」と聞いて、
私たちが思い浮かべる典型的なイメージは、
群れの縄張りに侵入してきた外敵に向かって、
リーダーゴリラが立ち上がり、
胸を打ち鳴らしている姿でしょう。

この姿はまるで、

「オレが相手になる。かかってこい!」

と争いを挑発しているように見えますよね。

実際、昔はそのように考えられていたため、
ゴリラは凶暴な動物としてみなされ、
ハンターたちの「野獣狩り」の対象となったのでした。

しかし、ゴリラの生態についての研究が進んだ結果、
ドラミングの本当の意味は違っていたのです。

外敵に対するリーダーゴリラのドラミングは、
そのような危機的状況において自分という

「リーダー」

の存在を示すことが目的。

つまり、

「さっさと立ち去れ!」

といった威嚇に過ぎず、積極的に「争い」を
しかけているのではないことがわかっています。

荒々しい外見に似つかず、
ゴリラはできるだけ争いを避ける平和的な動物
なのです。

というのも、興奮してドラミングしている
リーダーゴリラには群れの別のゴリラが近寄り、
体を軽くポンポンとたたいたりして、
なだめる仲裁役が現れるのです。

「まあまあ、落ち着いて・・・」

人間ならそういう言葉をかけているところでしょうか。

群れを率いるリーダーとしては、
厳しい局面では、率先して矢面に立つことが必要です。

そうでなければ群れの仲間の信頼を失います。

しかし、無益な争いをあえてしたくはない。

かといって、自分から引くのはできないけれど、
タイミングよく仲裁役が現れることで丸く収まると
いうわけです。

ゴリラに限らず人間社会も同じですが、
危機的状況は、リーダーの真価、いいかえると

存在価値

が問われるときなのです。

実際、不祥事などのトラブル発生時に、
組織のリーダーが堂々と矢面に立てるかどうか、
そこを社員や世間は見ていますよね。

企業ではしばしば、社会を揺るがすような
大きな問題を起こしたにも関わらず、
広報担当や副社長に記者会見を任せて、
社長本人は表に出てこないことがあります。

こうした社長に対して、私たちは直感的に

「なんと情けない」「リーダー失格」

という感想を抱くものですよね。

リーダーのあなた、
いざという時、立派にドラミングができますか?

*上記内容は以下の講演を元にしました。

慶応丸の内シティキャンパス 夕学五十講

「暴力はなぜ生まれてきたのか~人間性の起源~」
  山極寿一、京都大学大学院理学研究科教授

↓受講生レポート有り
http://www.sekigaku.net/intro/report.asp?ID=477

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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