経営戦略の賞味期限が意味するもの

2007.08.01

経営・マネジメント

経営戦略の賞味期限が意味するもの

槇本 健吾
株式会社インサイト・コンサルティング 常務取締役 COO(最高業務執行責任者)

現在、企業の経営戦略の賞味期限は、平均2.5年となっている。これが、何を意味するのかに言及してみたい。

企業の経営戦略が平均2.5年となっている。

これは、何を意味するのだろうか?

経営層側からは、「先が読みにくい。来年や再来年初め辺りまでは
読めるが、その先は、読めない」といった感覚ではないだろうか。

現場側からは、「戦略がころころ頻繁に変わる、体制や制度、システムが
できたと思ったら、即、変更となる」というイメージになる。

この経営側と現場側の感覚がコミュニケーションギャップを引き起こす
要因となる。

また、戦略の短期化は、ビジョンの短期化を伴うと言える。

ビジョンに沿って経営戦略が立てられるからである。
とすれば、企業にとって最も安定感のある拠り所は、経営理念となる。

安定した経営理念と、ダイナミックなビジョンと戦略が企業を形成する
ことになる。如何にこの点をデザインしていくかは企業の人材求心力を
左右するものとなる。

興味深いことに、経営戦略の賞味期限と新卒者のリテンションは比例し
ている。(リテンション=定着率の意)

現在、大卒で3年以内に転職する方の比率は30%を超えているのだ。
(最新の数字は、約34.5%)

ということは、企業を選ぶ人材側は、企業の理念に共感している方が70%
を切り、ビジョンや戦略で選ぶ方が30%を超えているとも考えられる。

良質の人材を集め、定着させる上で、経営戦略の描き方が非常に重要性を
増していることがわかる。

人材流動化時代は、経営戦略のデザインで競う時代だと言える。
但し、経営戦略のデザイン以上に必要なのは、経営戦略の評価であるが、
実際、日本企業は、立案系は強いが評価系が弱くなる傾向が強い。
(例えば内部監査人などの人材不足、育成問題を見ると自明の理である)

では、優れた経営戦略をデザインし、実行し、評価できるリーダーはどの
ようにして産出されるのだろうか?

次回は、先進性の時代における有能なリーダー産出について言及してみたい。

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槇本 健吾

株式会社インサイト・コンサルティング 常務取締役 COO(最高業務執行責任者)

個人と組織の成長を実現するために、真に効果的な人材育成のあり方を追求しています。国際競争力を併せ持つ能力開発を志ます。そのためには多様性を強みに昇華させることが肝要と心得ます。

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