企業のコミュニケーション活動における「マニュアルの壁」について考えます。
つまり「ミッション」「モラル」「モチベーション」という、内部から外部へと
向かう同心円状の心理の階層構造のようなものがあり、心理が内発的な要因から
外発的な要因にその依存度を移していく感覚です。
そう考えると、「マニュアル」が「ミッション」を最終的な「行動」に落とし込むために、
メディアを介在して形式化されたものだということが良く分かります。
しかし、シャノン=ウィーバー・モデルを持ち出すまでもなく、メディアとしての
マニュアルには、多くの「ノイズ」も受け手の「意志」も作用します。伝達の過程で
生じる「ノイズ」を排除し、スタッフそれぞれの「役割認識」を腑に落ちる形に導く仕組みが
できなければ、マニュアルは正しく機能しないのです。
ですから、「目に見える仕事=作業」だけがスタッフのやるべき仕事ではないということを、
経営層は再度認識する必要があります。「現場作業の意味」や、そこで果すべき「役割」を
理解するという「目に見えない仕事」が、実は「目に見える仕事」の前にあると言うことです。
一見、非効率のように感じますが、お客様へのより良い「約束」を果すためには、つまり
より良いブランドを築くためには、この過程を省略すべきではありません。
脳科学でも証明されているようですが、全ての行動は意識(無意識)の現われであり、
意識(=心理)を制御しなければ、行動は変化しません。
「マニュアル」の背景にある、「ミッション」「モラル」「モチベーション」という心理構造を理解し、
ブランドとしての「ルール=約束」を守る「ロール=役割」を果す心理を制御するための
「ツール=道具」の使い方を創出しない限り、「マニュアル」が正しく機能しないのは
当然のことなのです。
(「企業価値の最大化」という「ミッション」に対して、報酬による高い「モチベーション」で
行動し、その中間にあるべき「モラル」の欠如によって発生したのがリーマン・ショックです。
そこには、どのような「マニュアル」が存在したのでしょうか?)
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.07.10
2015.07.24