「天職」は“境地”である

2009.03.09

ライフ・ソーシャル

「天職」は“境地”である

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

自分に合った具体的な職業を探し当てることが天職ではない・・・!

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このたび独立後4冊目の著書
『いい仕事ができる人の考え方』-あなたの「働きモードが変わる36のQ&A-
を上梓することができました。
きょうはそのPRも兼ね、その中でも触れた「天職」についての考察を書きたいと思います。

さて、天職とは、私は
「仕事を通して得た最上の境地」ととらえています。

つまり、この次元になると、天職の「職」は、特定の「職業」ではなく、
「境地」と置き換えてもいいようになるのです。

西村佳哲さんが書かれた『自分の仕事をつくる』(晶文社)という本があります。
これは、著者がものつくり系のデザイナー・職人たちをさまざまに訪ね、
「仕事とは何か」というテーマを追っていく良書ですが、
ここでは興味深いコメントが散見されます。

例えば、東京・富ヶ谷にパン屋「ルヴァン」を開く田中幹夫氏のコメントは:
「パンそのものが目的ではないな、という気持ちが浮かんできた。
・・・パンは手段であって、
気持ちよさだとかやすらぎだとか、平和的なことを売っていく。
売っていくというか、パンを通じていろんなつながりを持ちたいというのが、
基本にあるんだなと思います」。

また、日本在住の人気デザイナー、ヨーガン・レール氏のコメントは:
「自分の職業がなんであるとか、そういうことはあまり気にしません。
私は、モノをつくってるというだけでいいです(笑)」。

これらの人たちは、まさに天職を生きていますが、
彼らの心の次元では、もはやパン焼き職人とか、アパレルデザイナーだとかの
具体的な職業は主たる問題ではなくなっています

いまのこの力強い心の平安を自分にもたらしてくれている職業が、
たまたまパン職人であり、デザイナーであったのだ
という思いにまで昇華されているからです。

つまり、これらの人たちは、仕事を通じてある高みの境地に達したといえる。
この悟りにも似た感覚は、
私がビジネス雑誌記者時代に遭遇した一級の仕事人たちも
同じようなことを口にしたのを記憶しています。

◆ふつふつと湧き起こる想いが天職の源

このような天職境地にたどり着くための必須要件は「想い」です。
先の田中氏にしても、レール氏にしても、
彼らは決して、何々という職業の形にこだわってはいないし、
それを始めるにあたって、
いま流行(はやり)の仕事と能力のマッチングがどうだこうだと
何かの診断テストで自己分析したわけでもないでしょう。

ましてや雇用の形態や会社の規模、年収額など気にかけたはずはない。
彼らは内奥からふつふつと湧く「想い」をただ実現しようと生きてきた(いる)だけです。「想いの実現」が目的であり、職業は手段なのです。
その結果として、天職を感得した。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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