塾もないのに、世界一の教育大国になる方法。

2009.02.20

ライフ・ソーシャル

塾もないのに、世界一の教育大国になる方法。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

鳥取県の公立小学校には「学級委員長」がいない。そんなニュースが流れたのは、つい先日のことだ。みんな平等で、学級委員長のいない国の「学級委員長=首相」は、漢字が読めないと叩かれている。 「教育」のことを真剣に考えないと、「経済」問題の解決は、いつも付け焼き刃になってしまう。

夏休み後の新学期――8月の新しいクラス替えで、園児達は、全員が持ち上がりで同じクラスに配属されるわけではない。この時点で、上のクラスに上がれる 子と、同じクラスに留年する子が出てくるのだ。もちろん、クラスの人数の関係など、理由は必ずしも他との比較による“遅れ”ではないのだが、クラス編成は、年齢ではなく、それぞれのクラスでの“適応能力”が基準となっている。

新学期が始まってしばらく、子ども達の間では、どの子が上のクラスに行けたか残ったかで話題が持ちきりだ。親にとっても、たかが保育園、プリスクールと はいえ、同じクラスで一年やり直しというのは決して小さな問題ではない。システムや制度はどんなものであれ、競争心のない集団などあり得ない。とある。

なるほど。ものごころ付いた頃から、フィンランドでは、毎年「落第するかとどうか」という状況に、親も子もさらされている。それを自然に受け入れているから、明確な目的意識を持って勉強をする習慣が、子供達に身に付くというわけだ。

その点、中学、高校、大学と数年毎の受験戦争を体験させる日本の教育制度は、どうだろう。塾では、競争。学校では、お手々をつないでゴールイン。どっちが正しいのかわからない散漫な時間を数年毎に体験しても、勉強の意味など身体に染みつかない。だから、自立した大人が育たない。

毎年毎年、毎日毎日、次の学年に上がることに目的を持って勉強する。その教育の現場には、確かな資格の、親も子も尊敬できる先生達が居る。当たり前のことをちゃんとやっているからフィンランドは、教育王国になったのだ。

選挙が差し迫った時にしか、せっせと動かない政治家。
人権団体やモンスターペアレントの攻勢を警戒して、ぬるい制度を推し進める関係者。
「教育」とは、毎日毎日の、問題だ。
数年毎の数ヶ月頑張れ→競争しろという受験戦争や教育の仕組み進行しても、全体が、あまり良い方向には進まないだろう・・・。

政治家にも、教育者にも、毎日毎日を切磋琢磨する方向に動かす「正しい落第制度」を議論するような「学級委員長=リーダー」の出現を望む。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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