YouTube王国発→ラジオ復活論。

2009.02.06

営業・マーケティング

YouTube王国発→ラジオ復活論。

中村 修治
有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

『BRUTUS (ブルータス)』2008年12/15号の特集「I ?YouTube」は、面白かった。 特に、「YouTubeにまつわるスゴイ数字、教えます」というコラムに掲載されている数値の数々は、テレビ凋落のニュースをあちこちで聞いている者にとって、説得力がある。

その点、ラジオは、制作コストがかからない。「喰わなきゃというより、1人になってもしゃべりたい+伝えたい」を優先することが可能な希有なメディアである。考えてみたら、そもそも、リスナーからの投稿ハガキを紹介するという『CGM』的な要素の強いメディアでもある。

だから・・・
ラジオを音楽の箱と捉えない→「音楽」を捨てる。
新聞局やテレビ局から独立する→「公器」であることを捨てる。
結局、「広告」収益モデルとは違うことを模索する。
その勇気があれば、ラジオは、YouTubeと同様の『CGM』として復活できると思う。

松本人志や北野武やナイナイなどの優れた芸人達が、テレビではできないことをラジオで展開し、高い聴取率を稼ぐ例は多い。なかでも2001年に放送が開始された「松本人志の放送室」TOKYO-FM系列深夜放送は、まことにYouTube的である。1時間番組であるが、途中に一切の広告は入らない。松本人志が「肩の力を抜いて話すことができる場所が欲しかった。」と始めた番組で、当初のコンセプトは、「誰にも(聴いていることを)言うな。」だったらしい。

自分ひとりでできる、一番自分らしい番組を、低コスト、広告主の強制なしに流すことができる。そして、リスナーは、それを「自分だけの、誰にも口外できない番組」として聴く。
テレビに飽きたら、呆れ果てたら→YouTubeかラジオという動きは、意外と現実的なものだ。遅れた媒体だけど・・・遅れた分だけ、いま見直すと、ラジオって、結構いけてる媒体だ。

日本の広告費の内訳を見たら、インターネット広告費の伸長が顕著で、新聞や雑誌やラジオが肩身の狭い重い商品している。しかし、「ラジオ」と「雑誌・新聞」の落ち込みは、少し質が違うような気がする。「雑誌・新聞」は、インターネット普及による「情報は無料」という意識の仲で相対的にシェアを奪われていると考えるが・・・。「ラジオ」は、違う。たぶん、インターネット登場による生活時間の使い方の変化により、ラジオに触れなくなっただけだろう。ラジオから流れる「情報の質」に対する幻滅や飽きからではない。
だから、ラジオが『CGM』として、小さくだが改めて裾野を拡げる可能性は、まだあると考える。

前述のように日本は世界一のYouTube大国だ。
・・・それは、世界一のラジオ大国になることもあり得るということだ。
時代が大きく変わる時~革命やプロパガンダに、ラジオというメディアは良く似合う。

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中村 修治

有限会社ペーパーカンパニー 株式会社キナックスホールディングス 代表取締役

昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。 その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。

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