情報はターゲット別S/N比を考えること

2007.07.03

仕事術

情報はターゲット別S/N比を考えること

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

相手によって求める情報は異なる。だから、相手が求めていない情報を余計に盛り込むと、伝えたいことも伝わらなくなる。そこで大切な考え方、情報のS/N比とは。

S/N比といえば、音楽好きな人ならピンと来るはず。正確にはSignal to Noise ratio、すなわち信号(Signal)に対するノイズの比を対数表示した指標である。ノイズが多ければ多いほど、肝心の信号がノイズに埋もれてしまいわかりにくくなる。逆にいえばノイズが少ないほど、情報はクリアに伝わる。

ここで少し下記の二つのサイトを見比べていただきたい。
→ http://www.ekipedia.jp/bbs/m19y14n15/
→ http://www.kotsu.city.osaka.jp/eigyou/shisetsu/station/eki_kounai/shinsaibashi.html

上が筆者が理事を勤めているNPO法人が展開しているサイト「えきペディア」、下が大阪市交通局が提供しているもの。いずれも地下鉄・心斎橋駅の構内案内図である。どちらが詳しいかといえば一目瞭然、交通局の図の方だろう。ではわかりやすさはといえば、これは主観が関わる問題なので一概に優劣はつけられない。ただし、特定の人々から圧倒的にわかりやすいと評価を得ているのが「えきぺでぃあ」の案内図だ。

ここでいう特定の人々とは、車イスユーザー、高齢者、小さな子どもを連れたお母さんに妊婦の方々などである。その人たちの視点で、図面を見直すとどうなるか。

実は車イスユーザーからみれば交通局の図面はノイズだらけなのだ。とはいえ誤解しないでいただきたいのだが、だから交通局の図面がダメでNPOの図面が善い、という話をしているのではない。交通局の案内図はもちろん極めて正確であり、駅構内の施設がすべて網羅されている。公共交通機関が担うべき情報提供は細大漏らさずなされている。

しかし、全情報を網羅することが特定ユーザーにとっては、ノイズフルとしか受けとれないケースもある。車イスユーザーには、自力で移動できない階段や車イスで使えないトイレがどこにあろうと関係ない。そうした彼らにとってのノイズ情報が事細かに記載されていることで、本当に求めているエレベーターや車イス対応トイレの位置がわかりにくくなる。健常者にとって有益であり得る情報が障害者にとってはノイズになるのである。

これを情報のターゲット別S/N比問題という。

この考え方をビジネスシーンに応用するなら、たとえば企画書である。きめ細かく情報を集めて、さまざまな角度から分析を重ね、思いの丈を書き綴った企画書を仕上げたとしよう。しかしである、その企画書の読者は一体誰なのか。

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