『クオリア』:Apple「iPhone」が強烈に放つもの

2007.07.02

仕事術

『クオリア』:Apple「iPhone」が強烈に放つもの

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

脳科学者、茂木健一郎さんが探究する「クオリア」の概念を、商品開発やマーケティングなどのビジネス現場が取り込んでみると何がみえてくるか。

【ピンときた!コンセプト:PIN !-cept #05】======やや長文です

私は今でこそキャリア・人事/組織分野のコンサルティングで生業を立てていますが、
職業人としてのスタートは
メーカーの商品開発部門で文房具のプロダクトマネジャーを3年弱やり、
いくつかの商品を文具市場に送り出したことに始まります。
ですから今でも、モノづくりには
並々ならぬ興味・関心を抱いてみつめています。

そうした中、10年に1つあるかどうかという
血沸き肉踊る新商品が出ました。

発売前から鳴り物入りだった
ご存知、アップルの「iPhone」です。

いま、米国アップルコンピュータのウェブサイトで
「iPhone」の商品紹介ビデオをみました。
Quick Timeムービーに収められた約20分間のビデオは、
消費者を魅了するに充分なプレゼンテーション力を持って迫ってきます。

私は、2ヶ月前に最新の携帯機種に変更し、多少気に入っていたのですが、
このビデオをみてしまった後は、
もう、手持ちの日本の携帯機が“野暮”なものに見えてしようがありません。

「iPhone」は
その機能面での先進性と賢さ・驚き(=smartさ)と、
そしてそのデザインが発する雰囲気と未来的な何かが始まったというワクワク感(=coolさ)が相まって
全体として、とてもふくらみとインパクトのあるrichな商品として
多くの人の中に“欲しい心”の火を着けてしまうのです。

私はこの「iPhone」が、
消費者としての自分の中に湧き起こさせるsmart、cool、richといった存在質感こそ
『クオリア』(qualia)であると思いました。

「iPhone」は、この後、全世界で驚異的に売れていくヒット商品になるでしょうし、
携帯電話のハード市場の様相も変えるでしょう、
そしてまた、個人の情報端末をめぐるライフスタイルも変えることは確実だと思います。

それは、「iPhone」に商品力があるから、とも
ブランドイメージ力が強いからとも、マーケティング力が優れているからとも、
コミュニケーションに長けているからとも、さまざまに言えると思いますが、
私は、これらをひっくるめて、
「iPhone」には、強烈でふくよかな『クオリア』があるからだと感じました。

私がこれほどのクオリアを感じた新商品といえば、
・ソニーの「ウォークマン」を最初に買い、ヘッドホンを耳にし、
再生ボタンを押したときのあの脳にダイレクトに来る音声のクオリアと
音楽を外へ持ち歩くことができたときの爽快感のクオリア
・アサヒ「スーパー・ドライ」を最初に飲んだときのグラス1杯の
のどごしのあのクオリア
・東京ディズニーランドの開業後、初訪園したとき、入場ゲートをくぐり、
眼前にシンデレラ城を迎えたときの空間のあのクオリア
・トヨタの「プリウス」を最初に試乗した際、
その車内の音の静かさとハイブリッドエンジンの切替のなめらかさを
ハンドル越しに感得したときのあのクオリア
以来のものでしょうか。

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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