「共通言語」を生み出すCRMブランディング

2008.12.17

営業・マーケティング

「共通言語」を生み出すCRMブランディング

原 一真

より良いコミュニケーション戦略を構築するために、CRMやブランディングとどのように取り組むべきか。「共通言語」という考え方から、コミュニケーション戦略のあり方を探ります。

バイリンガルの人たちの会話を聞いていると、複数の言語を混在させて話していることがあります。「英語+日本語」のようなやり方です。それぞれの言語の持つニュアンスの違いのようなものがあって、それを両方の言語を使うことによって補っているのかもしれません。

有名な(?)メラビアンの法則にしても、人にインパクトを与える情報の55%は視覚関連情報だということを唱えていますし、脳科学の世界では、絵や音や匂いなどを言語と一緒にコミュニケーションに取り入れることで、記憶力や発想力が高まることが証明されています。このことは、言葉は、思考や感情を伝えるためのメディア(*表現メディア)のひとつに過ぎず、より深く効率的なコミュニケーションのためには、より多くのメディアを使わなければならないということを示唆しています。

それは、「目的によってメディアを使い分ける」あるいは「目的によって複数のメディアを組み合わせる」ことで、より詳細なニュアンスを把握することが可能になるのであれば、「顧客管理・顧客分析」のために最も適した言語があっても良いはずだということです。
その言語が、CRMによって管理される「顧客・商品データ」だと私は考えています。

一般的な消費者の購買行動の8割以上は、「無意識」に支配されていると言われます。スーパーなどに買い物に行く場合、漠然と野菜を買おうとか、ジュースを買おうとかまでは決めているものの、どんな野菜を買うのか、どのメーカーの何と言うジュースを買うのかというアイテムのレベルまでは、決まっていないのです。
こうした「無意識の購買行動」に対して、何をどのように訴求すれば売上を伸ばすことができるのかと言うのが、長い間、多くの経営者や販促担当者の悩みでしたが、POSやCTIを初めとしたITインフラの普及により、顧客の購買行動はリアルタイムにデータとして記録することが可能になりました。 「いつ、どこで、誰が、何をどれだけ買ったのか」を、ほぼ瞬時に明らかにすることができるようになったのです。

購買行動の記録は、顧客の「無意識」が生み出した結果です。言葉では表現されなかった8割の「顧客の(無意識の)意思」が行動記録というデータ言語で表現されたわけです。残された課題は、「なぜ買ったのか」という「心理的側面」の理解です。「商品・顧客情報」というデータ言語を組織内の「共通言語」として用いて、顧客の「心理的側面」を「行動的側面」から追究することが、これからのCRMやCRMブランディングの役割だと言うことになります。

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