サラリーマンの「3鈍」

2008.11.10

組織・人材

サラリーマンの「3鈍」

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

サラリーパーソン、特に大企業勤めや公務員は「守られた働き人」です。守られるがゆえに“鈍化病”を発症します。その三大症例を寓話を交えて紹介しましょう。

確かに組織にはガラスの天井がさまざまな形で存在します。
暗黙の制度であったり、経営幹部や上司の頭ごなしの圧力であったり、
あるいは(これが最もおそろしいのですが)自分自身で限界を設ける姿勢であったり。。。

ですが、サラリーマンは、結局のところ
自分の時間と労力をサラリーに換えている職業であり、
組織から言われた範囲で失敗なくやっていれば、
給料は安定的にもらえる(ことに慣らされる)。
だから自分を超える、枠を超える、多数決を超えることをしなくなる

「なぜ、超えることをしないのか?」と問えば、
「組織がこうだから」「上司がこうだから」など批判や愚痴をこぼすだけ。
それはまさに鈍化病の症状です。

・・・さて、ちなみに、上のノミの天井話には続編があります。
いっこうにビーカーの口から出なくなったノミたちを
再び外に跳び出るような状態に戻すにはどうすればよいか?

―――普通どおり跳べるノミを1匹そのビーカーに混ぜてやること。
(ナルホド!)

*注)
なお、ゆでガエルとノミの天井の話は、ビジネス訓話としてよく用いられるものですが、
科学的に根拠があるかは定かではありません。

●鈍化病3【リスクを取ることに鈍くなる】 “落とした鍵”の話
ある夜遅くに、家に帰る途中の男が、
街灯の下で四つんばいになっているナスルディンに出くわした。
「何か探し物ですか?」と男が尋ねたところ
「家の鍵を探しているんです」とナスルディンが答えた。
一緒に探しましょうということで、二人が四つんばいで探すのだが、見つからない。
そこで、男は再び尋ねる。
「ナスルディン、鍵を落とした正確な場所がわかりますか?」
ナスルディンは、後ろの暗い道を指し示した。
「向こうです。私の家の中」。
「じゃあ一体なんでこんなところで探しているんです?」
と男は信じられないといった口調で尋ねた。
「だって、家の中よりここのほうが明るいじゃありませんか」。
     ―――(『人を動かす50の物語』M.パーキン著より抜粋)

ナスルディンはなんともトンチンカンな人間だと思いませんか。
しかし、これはサラリーマンのひとつの姿をよく表していると思います。

自分が求める解はたぶん向こうの
「暗い・未知の・想定外の展開を覚悟しなければならない・リスクのある所」
あるかもしれない―――こう思いつつも、
サラリーマン組織にいると、
「適当に見えている範囲で・既知の・想定の範囲内で済む(予定調和の)・リスクのない所」
で、仕事をやろう(やり過ごそう)とします。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

フォロー フォローして村山 昇の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。