プールの底で息を止め合うミニノート市場

2008.11.05

営業・マーケティング

プールの底で息を止め合うミニノート市場

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

何でも値上げの世の中で、ミニノート、またはネットブックと呼ばれる小型ノートパソコンだけが強烈な値下げ合戦を演じている。なんとも厳しい消耗戦だが、これは「プールの底での息の止め合い」だと考えればわかりやすい。

しかし、ASUSも黙ってはいない。
<ASUSTeK、2009年にはEee PCを200ドルで提供へ>
http://japan.cnet.com/news/tech/story/0,2000056025,20382990,00.htm?ref=rss

日本市場向けは仕様が異なるため、今までも実際には割高になって市場投入されたが、こちらも大胆なプライシングを2009年にしてくることが予想される。

ポーターの市場ポジションの3類型では、市場においてコストを武器に戦う「コストリーダー戦略」と、それに対する「差別化戦略」。より狭い市場に集中特化する「集中戦略」という分類がされている。もともとはミニノート市場はノートパソコンという市場の中で、ミニノートという狭い市場に特化した存在だった。しかし、その市場が大きくなり、逆にHPのような巨大な存在が参入してきたのだ。

現在、ミニノートメーカーは皆、「コストリーダー」のポジションを狙っている。しかし、現実的にそのポジションにはただの一社しか存在できない。自動車では、トヨタ自動車。ファストフードでは、マクドナルド。他社はもはやどこも追随できない。
ただ一社のポジションをめぐって、多くの企業が赤字覚悟でコストを武器に戦う。それは、例えるならば「プールの底で息を止め合う」ようなものだ。我慢ができなくなって、水面に逃げれば負け。最後まで息を止めて残ったのがコストリーダーなのだ。

今後、この市場の覇者がどの企業になるのかはまだわからないが、いずれにしても非常に厳しい業界であることは間違いない。
ユーザーには当面恩恵がもたらされるわけではあるが。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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