マクドナルドの戦略 と モスバーガーのこれから

2008.11.18

営業・マーケティング

マクドナルドの戦略 と モスバーガーのこれから

金森 努
有限会社金森マーケティング事務所 取締役

表参道のクォーターパウンダーに行ってみた。12時少し前であったが、オープン当初、報道にあったほどの行列はなかった。

「クォーターパウンダー」は重さ4分の1ポンド(約113グラム)、通常の2.5倍の肉厚の牛肉パテが入っている。さらにパテ2枚の「ダブル」もある。
パテ2枚なら「ハーフパウンダー」では?などと思いながら、試してみるとかなりのボリューム。マクドナルド色を一切消して、新たに日本に進出してきたハンバーガーチェーンといった風情の店内のせいだろうか。味も通常のマクドナルドの味とは少し違う気がしてくる。

とはいえ、表参道と渋谷にオープンしたこのクォーターパウンダー専門店は、当初のプロモーションやアンテナショップ的な役割が強く、このメニューはマクドナルド通常店に12月には展開されていく。
<メガじゃない、高級志向 マックがプレミアムバーガー>
http://www.asahi.com/business/update/1115/TKY200811150217.html

それよりも、この商品をマクドナルドがこのタイミングで、この価格で上市したことに深い戦略があると思うのだ。

マクドナルドには「高級バーガー」で痛い目を見た過去がある。2004年の「マックグラン」だ。
「ハンバーガーの王道」と華々しくデビューした3つのハンバーガー、「マックグラン」「ダブルマックグラン」「トマトマックグラン」は、上昇気流に乗れず、1年ちょっとで撤退したのである。

しかし、今、時は満ちている。「メガマック」の成功によって、メタボ対策や、健康志向の高まりに対する反動であろうが、大きいものを好む層を確実に取り込んだ。
しかし、その層を確保するだけであれば、メガマックを続ければいいだけのはず。なぜ、クォーターパウンダーを上市させたのか。それは、アンテナショップとしての表参道・渋谷の店が表わすように、海外のマクドナルドで展開されている由緒正しいメニューであるというポジショニングを持たせることなのだ。ただの「メガマック」の親戚ではないと。

全国的にハンバーガーはブームであるのは確かだ。
各地の独自の食材を用いた「ご当地バーガー」や、高級食材を用いた「高級バーガー」など、全国チェーンのハンバーガーとは一線を画すメニューが人気を呼んでいる。
例えば、高級路線の老舗では、ハワイ生まれの「クア・アイナ」がそうだ。
そのクア・アイナでは、最もスタンダードな1/3ポンドのハンバーガーが850円。1/2ポンドは1050円だ。かなりのボリュームだが、値段もなかなかである。

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金森 努

有限会社金森マーケティング事務所 取締役

コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。

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