ロバート・H・フランク『日常の疑問を経済学で考える』(日本経済新聞出版社)を読む。
《Q.株式アナリストが「売り」を推奨しないのはなぜ?》(p188)
これはすぐに答えを。
《アナリストにとって安全かつ最上の策は、他のアナリストの評価を予想して右にならうことだ。他のアナリストも「買い」を推奨すれば、その企業との関係を良好に保てることは同じである。アナリストの仕事は株価動向を予想するだけでなく、他のアナリストの評価を予想することでもある。となれば、「買い」を推奨することが安全かつ最良の策といえるだろう。要するに「買い」の推奨には、今後の株価動向の動きに関する有益な情報など含まれていないのである。》(p189)
なーんだ。そういうことか。
女性の方、つまんないですか。では、女性向けの話題を。
《一九五八年、商務省は婦人服のサイズに関する商業基準を公布した。しかし小売業者はほどなく、実際の大きさよりも小さめにサイズ表示をすると服の売れ行きが伸びることに気づいた(「虚栄のサイズ」と呼ばれる)。基準サイズと小売業者がつけるサイズ表示との開きはどんどん大きくなり、一九八三年、商務省は基準を廃止した。今日、虚栄のサイズを採用しないメーカーは生き残れない。多くの女性は、「思ったよりも痩せている」という幻想を抱かせてくれるので、実際の寸法より小さめのサイズ表示がある服を好むからである。》(p245)
たしかに、昔、カミサンがユニクロで試着後、「このサイズ、おかしくね?」と言っていたことがある。「そんなに痩せた覚えはないんだけどなあ」ということで。
最後の引用。
《Q.一夫多妻制は女性には不快だが、男性には好都合だといわれる。それなのに、男性が多数を占める議会が、一夫多妻制を禁止する法律を認めるのはなぜ?》(p264)
これは、「モテる人はモテるということによってますますモテる、モテない人はモテないということによってますますモテない」ということにも関連します。
モテる→モテるだけの何かがあるのだろうという魅力を生む、となるんですね。
売れる本やCDがますます売れる、というのも同じか。チャートに入れるために自社買いする、という話も聞いたことあるしな。そうだ、国語力検定関連書籍も……冗談ですよ冗談。
では、答えを。
《一夫多妻制が認められれば、一夫一婦制を支持する人たちのなかで、男性と女性の数の不均衡が起こる可能性がある。かつては大勢いた自分にふさわしい女性がいなくなってしまうと、条件は男性に不利になる。結局、多くの男性が結婚できなくなるかもしれない。/要するに、需要と供給の論理から考えると、一夫多妻制が女性を不幸にするという考えは、じつは逆だということになる。一夫多妻制になって困るのは、むしろ男性なのだ。/(中略)一夫多妻制を法律で禁止することは軍縮協定のようなもので、男性の人生を楽にする。議会で優位を占める男性もそれがわかっているのだろう。》(p266~267)
一夫多妻制の禁止=軍縮協定、という比喩は、なかなか秀逸だと思いました。
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