成長するタクシー広告

2007.06.05

営業・マーケティング

成長するタクシー広告

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

タクシー業界は、運転手さんのサービス・マナーの悪さや 低賃金の問題がよく取り上げられますよね。 一方で、ほとんど注目されてこなかったのが 「タクシー広告」 です。

しかし、ここ数年は、「小冊子広告」が急激に伸びています。
(日経産業新聞、2007/06/01)

タクシーの背もたれの設置された専用ラックに、
置かれたハガキ大の小冊子、お気づきですよね。

広告内容は、ダイエット食品やエステなどさまざまです。

従来は、20センチメートル大のパンフレットが主流でした。

近年、小冊子スタイルが増えているのは、
そのまま持ち帰ってもらうことが狙いです。

このタクシー内での「小冊子広告」の先鞭をつけたのは、
おそらく、新卒採用コンサルティングで急成長した

「ワイキューブ」

だと思われます。

社長は、安田佳生氏。
安田氏は、何冊もベストセラーを書いています。

最近では、

『千円札は拾うな』

というユニークなタイトルの本が売れました。

ワイキューブは、マーケティング巧者です。

社長さんが積極的に本を書き、マスコミに登場することで
知名度を上げる一方、ダイレクトマーケティングなど
地道なところにもしっかりお金をかけています。

さて、同社の主力事業、新卒採用コンサルティングの
ターゲットは企業の採用担当者ですが、中小企業では
経営者自身がかなり採用に関与します。

そこで、目をつけたのがタクシー広告でした。

タクシーの主要客層は、
30-50歳代の購買力を持つビジネスパーソンです。

そして、東京を走るタクシーには、
上京した地方の中小企業社長が乗車することも多いだろうと
仮説を立てたわけです。

同社がタクシー広告を始めたのは、3年ほど前だったと
記憶していますが、いまだに継続しているということは、
相応の効果があるということなんでしょうね。

実は、タクシー広告は意外に安い媒体です。

小冊子を専用ラックに置いてもらう場合で、
都内を走るタクシー500台以上に掲出して
1ヶ月、1台当たり950円。

たとえば、1,000台に1ヶ月掲出したとすると、
総費用95万円です。

そして、タクシーの一日当たりの輸送人員は
46人だそうですから、1,000台、1ヶ月掲出では、

延べ138万人

の潜在顧客にリーチできる計算になります。

この場合、
ターゲット一人当たりへの到達コストは約1.5円と、
TVコマーシャルのそれにかなり近い水準ですね。

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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