Webユーザビリティ失敗事例・・・新宿ピカデリー

2008.09.05

営業・マーケティング

Webユーザビリティ失敗事例・・・新宿ピカデリー

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

今年(08年)7月19日にオープンしたばかりの映画館 (シアターコンプレックス)、 「新宿ピカデリー」 に行かれた方います?

新宿・伊勢丹のすぐそばです。
丸の内線、副都心線、都営新宿線の

「新宿三丁目駅」

から徒歩1分。

私も今夏、新宿ピカデリーに何度か足を運びましたが、
最寄駅から近いのは便利です。
雨にもほとんど濡れなくてすみます。

複数のスクリーンを持つ

「シアターコンプレックス」

って、たいてい「ショッピングセンター」に
入居しているため駅からは結構離れていますよね。

昔ながらの映画館も、
駅からそこそこ離れていることが多い。

でも、新宿ピカデリーくらい駅から近いと、
やっぱり気軽に行きやすいです!

また、他の映画館とちゃんと比べたわけではありませんが、
シートとシートの間もゆったりしていて座り心地もグッド!

おそらく座席部分のせりあがり(傾斜)をかなり大きめに
取ってあるのだと思いますが、前の人の頭が全く邪魔に
ならないので快適に映画が楽しめます。

価格体系も斬新です。

マスメディアでも盛んに取り上げられていますが、
お金持ちをターゲットとした

「プレミアムルーム」

は、2名様でなんと3万円/1本・回。

「プレミアムルーム」は、専用エレベータで行く
個室仕様のバルコニー席です。

カッシーナのソファにゆったりともたれながら
映画が楽しめる空間になっているそうです。

また、メンバー(無料)になると、
平日A列の当日券が、先着5名/回まで1,000円で購入可能。

スクリーン最前列の席で首が多少痛くなっても、
安上がりに映画を観たいというお客さん向け。

とまあ、施設自体は言うことなしなんです。

ところが、新宿ピカデリーのWebサイトは、
残念ながらユーザビリティの設計に一部失敗しています。

けなしたり、茶化すつもりはありませんが、
わかりやすい「失敗事例」として皆さんの参考に
してもらうため、ここで取り上げてみたいと思います。

さて、何がいったい問題なのでしょうか。

それは、

「上映時間が確認しにくい(できない)」

という点です。

なぜ、こうなっちゃったのか。
その理由は次のようなものではないかと考えられます。

・映画館での映画視聴に関わる消費者行動シナリオを
 想定していない

・そのため、映画館サイトに消費者が訪問する目的と、
 その優先順位(重要度)を理解できていない

まず、消費者行動シナリオですが、個人差はあるとはいえ、
おおよそ次のような流れになるでしょう。

1.マスメディアや口コミを通じて新作映画のことを知る

2.興味を持ったので当該映画の公式サイトにアクセスして、
  詳細情報を得る

3.観たいと思ったので、上映している映画館を調べる

4.当該映画を観に行きたい映画館のサイトにアクセスして、
  上映時間と、行ける日時を確認する。

5.ネットでチケットを購入したり、街中のチケット屋で
  安い前売鑑賞券を購入、あるいは当日購入する

6.当該映画を観る

7.映画についての感想をブログに書いたり家族や知人に話す。

次のページ「上映時間を調べる」

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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