「記憶術」とは何か?

2008.09.03

仕事術

「記憶術」とは何か?

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先日、トップクラスの舞妓さん、芸妓さんが持つ、 驚異的な記憶力についてご紹介しました。 今回は、この記事に関連して 「記憶術とは何か?」 というテーマを取り上げたいと思います。

「記憶術」は、古代ギリシャの哲人、

シモニデス

が創始したと言われています。

シモニデスは、ソクラテスよりもさらに前の哲学者です。

さて、ISIS編集学校校長の松岡正剛氏によれば、
「記憶術」とは、

“さまざまな情報を「場」と「イメージ」に結びつけて
 おいて記憶し、それをあとで想起(思い出す)こと”

と定義することができます。

ポイントは、

「何かに結びづける」

つまり関連付けるという点です。

ここで、

「結びつける何か」

というのは、記憶したいことを思い出すための

「手がかり」

として利用します。

だから、覚えたり、思い出したりするのが簡単な

「場」や「イメージ」

と関連付けるのが最適なのです。

記憶のために利用する「場」は、
自分の部屋でも、よく行く公園でも、通勤ルートの街の風景
でもなんでもいいのですが、普段からよく見知っていて、
細部まで思い出せる必要があります。

というのも、その「場」の様々な構成要素(公園であれば、
すべり台、ブランコなどの各遊具)に記憶したいものごとを
結びつけて頭にしまい、思い出すときには、公園という

「場」

の構成要素のイメージを手がかりとして利用するからです。

例えば、円周率を何十万桁も暗記していたある男性は、
一定の散歩ルートを決めておき、そのルートで目に入る
様々な風景の一つひとつに数字を結びつけることで、
円周率を諳んじることに成功していました。

これは、典型的な「場所法」と呼ばれる記憶術です。

また、円周率暗唱の世界記録保持者である原口證さんは、
無意味にならんだ数字を語呂合わせで言葉に置き換えた上で、
ひとつの壮大な

「物語」

として覚えているそうです。

その物語とは、

松前藩(北海道)の侍が武者修行に出かける

というもの。

この記憶術は、

「物語法」

と呼ばれるものですが、原口さんは、
物語を通じて脳内に明瞭な「イメージ」を生み出し、
数字とイメージを結びつけて記憶しているのでしょう。

原口さんが持つ世界記録は4年前に達成したもので、
5万4,000ケタだそうですが、現在はなんと10万ケタを
暗唱できるとのこと。

なお、米山公啓氏(医師兼作家)は、
記憶力を高めるために知っておくべき原則として
以下の3つを挙げています。

1.覚えようとしなければ、決して覚えられない
2.興味のあることは覚えやすい
3.強い感情とともに入った情報は記憶に残る

記憶術以前に、まずは「覚えたい」という強い意思と、
覚えたいものごとに対する興味を持つことが不可欠だと
いうこと、そして、「感情」を記憶(想起)の手がかり
にすることも非常に有効だということですね。

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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