[BCM]リスクマネジメント/ケーススタディ【災害発生編】5

2008.08.10

組織・人材

[BCM]リスクマネジメント/ケーススタディ【災害発生編】5

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

BCMを人事・総務の立場から考える「ケーススタディ」の教材のようなものを書いてみました。日々の生活を振り返る道具にしてみて下さい。


「Dさん、大丈夫でしたか?」

と声をかけたのは、玄関前で寮にいる社員達をまとめているEさんだった。

ほこりにまみれたDさんは、大量のテープが入った紙袋を2つ持ってAさんと玄関まで戻ってきた。

「空いている社用車は何台?」とDさんが聞くと、Eさんは「2台ですね。5台は倉庫代わりに使っています。」と答えた。

「そうしたら、さっき倉庫から持ち出したポリ缶とポンプで、5台からガソリンを抜いて、残り2台に移し変えておいて。但し、ポリ缶には残さず2台に入れられる量だけを移して、もしポリ缶に残ったら5台に戻しておいて。」とDさんが言った。

災害時は、ガソリンスタンドが使えない。地下のタンクに亀裂があったり地上に染み出している場合は爆発の恐れがあるから、容易には近づけない。また、揮発性の高いガソリンはポリ缶では保管できず、車の中にしか置くことができない。

「Eさん、近くの救急病院までは道が確保できているから、近隣の住民で搬送が必要な場合は、こっちの車だけを使い、もう一台は会社でいつでも使えるように管理しておいて。あと、ガソリンが足らなくなったら、近隣住民に状況を説明して、ガソリンを抜かせてもらってくれ。」

Dさんは、どこでそんなことを覚えたのかと思うくらい、いろいろと対策について話し始めた。

「Dさん、どこでそんなことを知ったの?」と聞くと

「Aさん、この前セキュリティの資格でCISSPとかいうの取らされたでしょ。あれ、ITセキュリティっていうわけじゃなくて、リスク対応全般だったんですよ。で、どうにかできないかと考えていたら見えてくるんだなぁ・・・これ。」

いつもは無口で画面に向かっているDさんが、ちょっとテレた表情を見せた。

「Aくん。大丈夫かね?」

大きな黒塗りの車から一人だけ降りてきた。

「社長! 自分で運転してきたんですか?」

「いや~、歩いていくって言ったら、家内から年なんだから、どこで行き倒れるか分からないって、水や食べ物を大量に積んで車で行けって言われてね。ナビもまったく役にたたないし、道を聞いては行き止まりと繰り返しながらようやくたどり着いたよ・・・。今日ほどこの車の燃費の悪さを感じた日はないな。」

「で、Aくん。他の役員は? 人事総務部長は?」

「いや、まだ部長も役員の方々も来ていません。安否の確認が取れているのはあそこに名前の書いてある社員だけです。建物にいるのは怖いので、重要な書類や端末は全て社用車に移しました。」

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荒川 大

荒川 大

株式会社ENNA 代表取締役

企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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