未払い残業代で会社が倒産する日・・・【その3】

2008.07.13

経営・マネジメント

未払い残業代で会社が倒産する日・・・【その3】

荒川 大

これまでの2回の記事は、現在当社が担当している未払い残業代の清算コンサルティングの中でも、事前準備として行っている作業をまとめてみました。今回は対応に焦点を当てて書いてみます。

 
「お世話様で~す。○○です。ようやく役員会でOKがでて、未払い残業代を清算することにしたみたいなので、社内資料を作りたいと思っています。何かサンプルありますか?」「いきなりコンサルティングを受けるだけの予算が管理部門にはないので、自分でやれって言われていまして・・・」

そうなんですね。私が人事を担当していた頃も、グレーゾーンで相談に乗ってもらえる社会保険労務士の先生もいなくて、法令に基づいて相談に乗ってくれるコンサルタントにもめぐり合えず、結局自分で全て対応したことを思い出していました。

「であれば、概算金額を出せるエクセルシートがありますから、一応お渡ししておきましょうか。」「詳細については、計算の軸が複数あるので、別途詳細のシートがありますが、これは有料ですからね。」
と話しつつも、社員、2年間の毎月の労働時間、各時間に対する基本給をベースにした時間単価が分かれば、誰でも計算ができるものなのです。

さて、この計算をしてみると分かるのですが、基本給に含まれている労働時間をどれくらいにするかで、金額の差が明確に分かれてきます。
そして、この基本給に含まれる労働時間を下手に変更すれば『不利益変更』で会社がさらに窮地に立たされる恐れがありますので、計算は様々なケースで行いながらも、勝手な制度変更は極力さける必要があります。

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年俸制を導入していながら、年俸に含まれる労働時間を明確にしていない会社は意外とたくさんあります。

制度構築当時に、年俸制にすれば残業代は細かく払わなくても良いというコンサルティングを受けた会社が、そのような制度のままに放置しているケースがそれのようです。

裁量労働制は対象職種が限定されますし、みなし労働は事業所外での勤務が基本ですし、それぞれ厳格な運用管理と労働基準監督署への届出が必要ですので、あまりお勧めできない制度でもあります。

ここで重要になるのが「社員の側が現行給与制度において、労働時間がどれくらい含まれていると認識しているのか」の確認です。
この共通認識によって、未払い残業代の清算プロセスは大きく変わることになります。

と、このフレーズで「ピン」ときた方は、人事コンサルタントになれる素養があると思います。是非、一緒にお仕事ができればと思います。

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