未払い残業代で会社が倒産する日…【その2】

2008.07.11

経営・マネジメント

未払い残業代で会社が倒産する日…【その2】

荒川 大
株式会社ENNA 代表取締役

前回は、未払い残業代の算定方法を伝えて人事担当の知人の連絡から、未払い残業代の考え方について書いてみました。今回は、この算定方法と基本給の持つ影響力についてまとめてみます。

 
「お世話になっています。荒川です。先日の未払い残業代ですが、ポイントがあるのでそれぞれのケースを適用して再計算してみてもらえます?」

残業代の算定については、それが既払いでも未払いでも「就業規則」と「賃金規程」を見ればどれくらい払わなければならないのかが明確になるため、それを踏まえて再計算を依頼してみました。

「○○です。お世話さまです。一応、3パターンやってみましたけど、3つ目の形が一番金額を抑えられそうです…」

「でも、社長は一切払いたくないって言っているし、社会保険労務士の先生は満額払うしかないって言っていて、困りましたよ~」

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まず、未払い残業代を算定する前に、残業代の考え方について整理しなければなりません。

残業代とは、労働基準法第32条に定められている労働時間を越えた超過労働時間に対して支払う「手当て」を指します。そして、基本給に基づく時間単価に一定の割り増しを乗せて支払うものです。

注意しなければならないものが、36協定の締結がなされ、書類が労働基準監督署に届け出られていなければ、残業そのものは禁止されています。このことは「現行の労働基準法は残業を禁止するための法律である」ということを意味しています。

そして、基本給が低く、基本給に組み込まれている労働時間が長いほど時間単価が低くなり、残業代のUP率は抑えられると考えられます。
制度変更は別として、年収や年俸という所得の問題ではなく、各種手当てが支払われていて給与として振り込まれていれば、会社側は残業代だけを算定方法から抑えられるということになります。

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「そういえば、今後の支払いを抑えるために年俸制をやめて、月給制にするという案はどう進めたらいいですか?」

基本給を抑えていくことを、月給制(+諸手当)に移行することで実現する案が出てきたようですが、これは現状の法令ではほぼ無理なのです。

「残念ながら、年俸制を月給制に戻すと、もっと大変なことになりますね…。基本給の過度の減額による『不利益変更』と見なされます。犯罪扱いです…」

「そうなんですか…、なんだかグッタリしますね」と、八方塞がりのような返事だったので、一旦、未払い残業代の扱いに注力してもらって、またゆっくり話しましょうと電話を切りました。

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荒川 大

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企業実務(総務・人事・法務・社内システム等)におけるコンプライアンス対応について、企業実務者の観点からの業務改善、内部統制対応等の支援を行なっております。

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