リサーチ・リテラシー

2007.05.21

営業・マーケティング

リサーチ・リテラシー

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

先日、某外資系企業製品の日本市場開拓を支援されている方が、 ミクシィ内のマーケティング・コミュニティにヘルプを 求めてました。(差し障りがあるかも知れませんので、 詳細はあえてぼかします)

“日本に輸出したい製品について、日本市場の現状を
 調べています。しかし、情報が少なくて困っています。
 役立つ情報があれば教えてください”

そこで、私は、当該市場分野についての有料レポートを
発行している調査会社名を教えてあげました。

当該市場は、法人向けのニッチな分野でした。
したがって、一般に公開されている情報は限られていることが
わかっていたからです。

ところが、このヘルプを求めていた方のレスは、

“クライアントは、そうした調査レポートには、
 お金を出してくれそうもないんですよ”

とのことでした。

要するに、この外資系企業としては、
インターネットなどで検索できる一般情報で
市場調査を間に合わせたいと考えているんでしょう。

そうお考えなら仕方がないです・・・

こうした会社は、決して少なくはありませんよね。
日本企業でも結構多いのが現状です。

しかし、正直に申し上げて、
私はこのような考えが全く理解できません。
(冒頭のヘルプを求めた方や、外資系企業を
 非難しているわけではないですよ)

この外資系企業で言えば、いざ日本に輸出すると決断したら、
相応の投資を行うはずです。

もし、不十分な調査に基づいて日本進出を決め、
不幸にも失敗してしまえば、その投資は無駄に終わることに
なります。

それでいいんでしょうか?

調査をしたからといって100%の成功が約束されるわけでは
ありません。しかし、失敗の可能性を下げるためにやるのが、
調査です。

しかも、私がご紹介した有料レポートは、
何本か購入してもせいぜい数十万円程度で済む話。

本格展開で投じる数百万~数千万円をドブに捨ててしまう
ような結果をできるだけ避けたいなら、数十万円なんて
たいした金額ではないはずですけどねぇ・・・

さて、たまたまですが、プレジデント最新号(2007.6.4)の
「ビジネススクール流知的武装講座」は、

「マーケティング・リテラシー」

がテーマでした。

筆者の石井淳蔵氏(神戸大学大学院経営学研究科教授)は、

「マーケティング・リテラシー」

を次のように定義しています。

「マーケティングの知識を、
 学び、増やし、使いこなす組織の能力」

そして、マーケティング・リテラシーが低い組織の問題点を
いくつか指摘されているのですが、その冒頭に挙げてあるのが、

・やるべきリサーチをやらずにすます

です。

石井先生は、

「組織にリサーチ専門部署がないと、
 時間がないとか、費用がないといった理由で
 やるべきリサーチをパスしてしまう」

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松尾 順

有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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