過去は変えられる

2008.06.14

経営・マネジメント

過去は変えられる

伊藤 達夫
THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

「過去は変えられます」と言われて、そんなわけがない!と思う人が多いでしょう。死んだ人が生き返るとかそういうオカルト的なことを主張したいのではありません。経営的には過去の意味合いは変えられます。未来に目指すことを変えることで。

 過去の活動を全て統合できて、輝かしい未来につながるビジョンがベストですね。そういうビジョンをとにかく作る。外向けにそういう見え方を作る。社内にもそういうメッセージをしっかり伝える。

 すると、あら不思議、社員もそう思い始めるし、そう思っている人が入ってくる。昔からいる人で、過去の活動をトラウマに思う人は、少しずついなくなるか、新しいビジョンに共感する。

 まあ、人間なんて、そんなもんです。
(本質的にはゲシュタルトセラピー的な考え方を多分に取り入れた「もの言い」なのですが、それはまた別の機会に)

 当初から、きれいなビジョンを掲げると、粗利を徹底して取りにいけなくなります。そりゃそーですな。

 どうも、最近の「高尚なビジョンステートメントが創業には必要」という考え方には違和感がありますね・・・。そんなもんは創業期には要りません。

 成長にはどうしても高粗利が必要です。高粗利を高尚なビジョンと両立させられる人は稀だと思います。

 ただ、安定軌道に入ってきたら、ビジョンによってもたらされる、組織の安定性は非常に重要です。粗利が下がっても、成熟したある程度の規模がある市場でやっていくには、そういう感覚が大事です。

 さらに、大きくなってしまうと、社会的責任が伴います。

 小さいうちは、ビジョンステートメントなんて、いらんと思います。とにかく数字が全てで稼いでください。本質なんていりません。セールス的に都合のいい見え方だけでいいんです。しっかりお客さんを取って、入金させてください。

 でも、大きくなり始めたら、その切り替えをうまーくやってください。でないと続きません。組織が割れます。外部からも圧力がかかります。そして、内部告発も出てきます。

 そんな時に、ビジネスモデルの変革と言いますか、既存事業の再定義と言いますか、そういうのが大事です。と、私が営業をかけているみたいですね・・・。

 なので、この辺でやめますが、こういう成長の転換期の事業の再定義、ビジョンの創出はけっこう骨のある、しかし面白い、意味のあるお仕事ですよ。苦しかった過去を変えるために。前を向いて未来を作るために。

続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。

Ads by Google

この記事が気に入ったらいいね!しよう
INSIGHT NOW!の最新記事をお届けします

伊藤 達夫

THOUGHT&INSIGHT株式会社 代表取締役

THOUGHT&INSIGHT株式会社、代表取締役。認定エグゼクティブコーチ。東京大学文学部卒。コンサルティング会社、専門商社、大学教員などを経て現職。

フォロー フォローして伊藤 達夫の新着記事を受け取る

一歩先を行く最新ビジネス記事を受け取る

ログイン

この機能をご利用いただくにはログインが必要です。

ご登録いただいたメールアドレス、パスワードを入力してログインしてください。

パスワードをお忘れの方

フェイスブックのアカウントでもログインできます。

INSIGHT NOW!のご利用規約プライバシーポリシーーが適用されます。
INSIGHT NOW!が無断でタイムラインに投稿することはありません。