iPhone上陸とAppleの巧妙な戦略

2008.06.10

営業・マーケティング

iPhone上陸とAppleの巧妙な戦略

竹林 篤実
コミュニケーション研究所 代表

つい先日、ソフトバンクがiPhoneの日本での発売をプレスした。かと思えば今朝、Appleが7月11日からの発売開始を発表。しかも、極めて巧妙なApple流マーケティング戦略が仕込まれている。

逆にMobileMeと似たようなサービスは、Googleのほかにマイクロソフトも手がけているが、両社は今のところそのサービスに最適化されたハードを持たない(もしかしたら噂されるGphoneが、そのうち登場するかもしれないけれど)。ハードとソフトのセット展開戦略にAppleの際立った思想を見る思いがする。

その思想とは「顧客価値に徹底フォーカスすること」だろう。

ハードもソフトも結局は、顧客に何らかの価値をもたらすために提供される。だからこそ顧客は対価を支払う。が、ハードだけあるいはソフトだけでは本来、顧客が求めている価値を実現することはできない。当たり前のことだけれども、ソフトがなければパソコンは何の価値も生み出さない。逆もまた然りである。

そこでマイクロソフトはハードメーカーと組んでソフトを提供し、現在のポジションを獲得してきたわけだ。かたやAppleは創業当初からずっとハードとソフトのセット戦略で突っ走ってきた。ただ、以前のAppleのハード&ソフトは、ターゲットをクリエイティブ系の人々においていたために、一部でマニアックな人気は得ていたけれども爆発的なヒットとなることはなかった。

そこでスティーブ・ジョブズは、まず初代のiMacでターゲットを劇的に広げたのだ。然る後に、まさに満を持してiPod&iTunesが登場する。「音楽を楽しむ」という誰もが受け入れる価値を、手軽にカッコよく安価に提供できるハード&ソフトは画期的なプロダクトとして圧倒的なポジションを一気に獲得した。

では、iPhone&MobileMeが狙っているのは誰だろうか。ここはまず間違いなくアーリーアダプター層に属するビジネスパーソンだと思う。すでに飽和状況にある日本のケータイマーケットで、狙うべきニースは買い替え需要である。買い替えは、誰が、どんな動機を持ったときにもっとも起こりやすいか、と考えれば、ビジネスユースが狙い目として浮かんでくる。

ここでAppleとソフトバンク連合がクリアすべき課題が三つあるだろう。

一つはビジネスパーソンが個人的にiPhoneに切り替えるのではなく、企業単位での切り替えを実現するためのさまざまな施策を用意すること。ポイントとなるのはセキュリティ対応だと思う。

さらに、企業ユーザーを狙うのなら、コストメリットも強力なアピールポイントになる。ここはソフトバンクお得意の破壊的ディスカウント作戦を展開するのではないだろうか。

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