「プロフェッショナルシップ」という人財育成の観点

2008.06.10

組織・人材

「プロフェッショナルシップ」という人財育成の観点

村山 昇
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

「キャリアデザイン」なる概念が矮小化する流れにあるように感じる。そこに「プロフェッショナルシップ」という新概念を持ち込んで、キャリア教育について少し考えてみたい。

こうした部分を欠いたまま、
自己分析やプランシートの作成それ自体を目的化して作業させる、
そんなキャリアデザイン研修が増えている点を、私は指摘したいのです。

・自分の「想い」はどこにあるか
・「想い」を描くにはどうすればよいか
・「想い」を体現するとはどういうことか
・「想い」を仕事に変えている人は周囲にいるか
・個人の「想い」と、組織の「想い」をどう重ねることができるか・・・等々、
こうした「想い」に関することを研修プログラム化することは、非常に難しい作業ですが、
ここを正面から照射しないものは、やはり不充足プログラムだと思います。

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◆プロとしての働く基盤意識「プロフェッショナルシップ」
ヤンキースの松井秀喜選手の母校である星陵高校野球部の部室には
次のような指導書きが貼ってあると聞きました。
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば、習慣が変わる。
習慣が変われば、人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」。

これはまさに、一般のビジネスパーソンにもそのまま当てはまることです。

冒頭、私は、キャリアは人の働き方・働き様・働き観に関することだと書きました。
そして、キャリアは「想い」を持った後の奮闘の結果、
何かしらできてしまうものでもあると書きました。
ですから、つまるところ、キャリア教育とは、
日々の働くことに向き合う「意識づくり」の啓育である――――
それが、私の今の認識です。

私は、プロフェッショナルとしての働く基盤意識を「プロフェッショナルシップ」と
名づけています。

このプロフェッショナルシップ(Ⅱ)は、
各自の専門性能力(Ⅰ)がうまく発揮されるベースとなるもので、
具体的には、プロとして働く基礎力、態度、習慣、マインド、価値観が含まれます。
また、Ⅰ・Ⅱによって成された行動や仕事実績、あるいは習慣といったものが、
中長期に蓄積することにより、キャリアが形成(Ⅲ)されます。

先の星陵高校の指導にあった「心を変える」とか「習慣を変える」の
“心・習慣”の部分を、すなわち私は“プロフェッショナルシップ”と考えます。
キャリア教育を施すにしても、各種の専門技能訓練を行なうにしても、
この基盤意識の醸成をないがしろにしては、その効果が限定されるでしょう。
また、効果が歪むことすら起こりえます。

キャリアデザイン研修なるものの矮小化問題は、
キャリア形成の部分だけを切り出して、基盤意識の部分に手を入れることなく、
技巧的に取り装った研修メニューのみが施されることに原因があります。
(これは技能訓練にも同様の問題があります)
(だから、技能でっかち、知識でっかちの人間ができあがる)

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村山 昇

キャリア・ポートレート コンサルティング 代表

人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。

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