リアル店舗の存在価値・意味

2008.05.21

営業・マーケティング

リアル店舗の存在価値・意味

松尾 順
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

思考を柔軟にし、新たなアイディアやコンセプトを 生み出す力を伸ばす発想力のトレーニングとして、 「意味の拡張」 というものがあります。 (以前もご紹介したことがあります。文末の記事リンク参照)

これは、一言で言えば、

「ものごとの意味を多面的に考える」

トレーニングです。

以前と同様、具体例として、

「刑務所」

の意味づけの拡張で
説明するのがわかりやすいでしょう。

刑務所の第一義の意味は、

・刑に服すること

ですよね。

しかし、上記以外にも様々な意味づけが可能です。

・3食付のホテル(外出はできないが・・・)
・技能を身につけるところ
・技を継承するところ(盗みの技など・・・)
・規則正しい生活態度を習得するところ
・健康を回復するところ

などなど。

こうして見出した新しい意味の中には、
ユーザーに対し、新しい価値として打ち出せるもの
があるかもしれません。

それらは、新商品・新サービスを生み出すことにも
つながる可能性を秘めています。

ちなみに、この発想方法は、

「ソフトシステムズ方法論」

で使われる方法です。

また、松岡正剛氏が校長を務める

「ISIS編集学校」(編集工学研究所)

でも、類似のトレーニング(「言葉の言い替え」)が
ありますよ。

さて、インターネットが日常生活に浸透し、
オンライン店舗花盛りの現代。

もはやPCやケータイから買えないものはないという今、
リアル店舗の存在価値・意味が段々薄くなってきているのは
間違いないですよね。

実際、店舗を単なる

・ショッピングの場

と意味づけているだけでは、
リアル店舗は、オンライン店舗に勝てません。

もっと別の存在意義・価値を見出し、
それを消費者に訴求する必要がありますし、
頭を絞れば、リアル店舗にはショッピングの場以上の
存在価値・意味を生み出せる可能性が残されています。

このことを気づかせてくれたのが、
鹿児島の阿久根市にある巨大スーパー

「A-Zスーパーセンター」

のドキュメンタリーでした。
(NHK『ドキュメント にっぽんの現場』)

阿久根市は人口2万5千人。

3人に1人が65歳という高齢化、
そして過疎化が進んでいる地域です。

A-Zスーパーセンターは97年にオープン。
売り場面積5千坪、33万品目を取り扱う超大型店です。
日用品から、「車」まであらゆるものがここで買えます。
しかも24時間営業。

当スーパーは商圏人口の小ささとは不釣合いな大規模さと、
24時間営業という斬新な運営を打ち出したため、
開店当初は無謀と考えられたようです。

しかし、大方の予想に反して大成功を収め、
以前から流通業界では有名な存在でした。

このスーパーの基本的な存在価値・意味は、

ここに来ればほぼなんでも揃う

という便利さにあることは間違いありません。

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有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー

これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。

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